アゼルバイジャン治安最新情報(2024年1月)/海外安全.jp


0.アゼルバイジャンにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在アゼルバイジャン日本国大使館   :+994-(0)12-490-7818

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察 :102

◎救急 :103

◎消防 :101

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

アゼルバイジャンに対しては、隣国アルメニアとの領土係争地域であるナゴルノ・カラバフ地区、およびアルメニア領内アゼルバイジャン支配地域(ナヒチェバン自治区)を除き、各国政府とも安全度が高いと評価しています。2023年9月以降同地域ではアゼルバイジャンがナゴルノ・カラバフの支配権を確立しつつあり、現在情勢が流動的になっている点には注意が必要とされています。
一般犯罪の発生率も日本と比べれば高いですが、英語圏各国のトラベルアドバイス上は注意喚起がありません。唯一、日本政府外務省はスリや置き引きに注意し、貴重品から目を離さないように、注意喚起を行っています。

【海外安全.jpのコメント】

各国政府とも、ナゴルノ・カラバフ地域、アルメニア領内ナヒチェバン自治区以外へ渡航する国民への注意喚起は最小限です。単独もしくは数人の実行犯による小規模な攻撃等、テロに分類できる事件も発生していますが、大規模なテロの標的としてあえてアゼルバイジャンを狙う理由は見当たりません。オーストラリア政府のアドバイスにあるように「常識的な行動をとる」ことができれば不必要なトラブルは回避できます。

他方で、隣国アルメニアとの軍事的衝突は現在進行形で発生しています。2023年9月以降アゼルバイジャンがこれまでアルメニアの実効支配地域であったナゴルノ・カラバフ地域の支配権を確立しつつあります。現時点ではまだ情勢は流動的であり、どの国もナゴルノ・カラバフ地域への自国民の立ち入りを推奨していない点には十分注意が必要です。

2.日本政府の危険情報

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アルメニアとの紛争が発生した際国土のほどんどが「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」以上に設定されていましたが、2021年12月7日付で2020年10月以前の危険情報に近いレベル設定に引き下げられました。

 

「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」が設定されている地域

隣国アルメニアとの係争地及び国境付近

「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」が設定されている地域

ナゴルノ・カラバフ及びその周辺地域(ケルベジェル、ラチン、グバドル、ゼンギラン及びジェブライルの各県、フュズリ県及びアグダム県の一部)

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

ゴランボイ、バルダ及びアグジャベディの各県、テルテル、アグダム、ホジャヴェンド、フュズリ及びジェブライルの各県の一部の地域

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

首都バクーを含む上記に記載のない地域

 

2020年9月下旬からナゴルノ・カラバフ地域周辺でのアルメニアとの軍事的緊張を背景として特に国境地帯で両国軍が軍事的に衝突する事態が継続しました。このため、日本政府外務省は2020年10月時点で戦闘行為に巻き込まれる危険性があること、また万が一巻き込まれた場合でもアゼルバイジャン政府による有効な救済措置が講じられない可能性があることから、国境付近及びナゴルノ・カラバフ地域には「レベル4:退避してください。渡航はやめてください」を設定し、首都バクーを含む残る全土に「レベル2:不要不急の渡航はやめてください」の危険情報が設定しました。

 

現時点ではロシアの仲介とする調停が行われ、アルメニアとアゼルバイジャン双方の軍による軍事衝突は稀になっています。このため軍事衝突が頻繁になる以前からレベル4が設定されていた地域を除き、国土の大部分は危険情報が引き下げられました。ただし、2020年10月以降の軍事衝突時に砲弾等が着弾し、不発弾が残っている可能性のある地域は過去レベル1だったエリアも高いレベルの警戒が必要であると説明がされています。

 

今回危険情報がレベル1に戻された地域でも、大規模なテロ等こそ発生していないものの、過激派の摘発や自爆テロ未遂等があることも踏まえ、引き続き十分な安全対策を講じるよう呼び掛けられています。一般論としてアゼルバイジャンでの一般犯罪は少なくはありませんが、世界的に見れば犯罪発生率は低めです。ただし、違法薬物の流通などは増加傾向にあることから、外出時は十分注意するよう明記されています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

ナゴルノ・カラバフ地域

アルメニアとの国境付近

ナゴルノ・カラバフ地域を除く全土

アルメニアとの係争地であるナゴルノ・カラバフ地域及びアルメニアとの国境付近では武力紛争の恐れがあるとして、「渡航を中止してください: Do not travel」が、それ以外の地域には「十分警戒してください:Exercise increased caution」が設定されています。特にデモ等への警戒を怠らないようアドバイスされています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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2020年12月2日、イギリス政府はアゼルバイジャンとアルメニア間の軍事的緊張が緩和されたとして一部地域のリスクレベルを引き下げました。

ナゴルノ・カラバフ地域及びアルメニアとの国境地域(国境から5キロの範囲)及び、Zengilan、abrayil、Qubadli、Lachin 、Kelbajarの全域に加えKhojavand、Fuzuli、Aghdamの西側について「渡航を推奨しません:Advise against all travel」が設定されています。

 

それ以外の地域については、「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」が設定されており、パンデミック拡大前と同じリスクレベル設定に戻されています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。
2021年11月1日付でアゼルバイジャンの大部分は「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にリスクレベルが引き下げられました。ただし国境付近についてはコロナウイルス感染症と無関係に、国境紛争の恐れがあるとして「渡航を取りやめてください:Do not travel」の指定が続いています。

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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

ナゴルノ・カラバフ地域とアルメニア国境(ナヒチェバン自治区側含む)は「渡航を取りやめてください:Do not travel」に設定されていますが、それ以外の地域については五段階中の真ん中「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」となっています。隣国アルメニアとの緊張関係がいつどのように変化するかわからないが故のリスクレベル設定であるとされています。

アゼルバイジャンでは、凶悪犯罪はそれほど多くないとの記載がありますがそれでもしばしば外国人が強盗被害に遭う事例も報告されているとして、夜間の徒歩移動や路上のATM利用などを控えるようアドバイスがあります。

6.最近の治安ニュース

アルメニア・アゼルバイジャン停戦合意を巡る動き(2020年11月)

アゼルバイジャンと隣国アルメニアの国境付近では「停戦合意違反」による銃撃戦等はしばしば発生しますのでご注意下さい

(参考:アゼルバイジャン国内報道)

Armenia violates ceasefire with Azerbaijan 22 times

 

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