Risk Matrixから必要な安全対策は見えてくる(前編)

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Risk Matrixは「リスク」評価だけのツールではない

 

これまでのコラムで、UNDSS(UN Department of Safety and Security)も世界各地の安全対策のために活用しているRisk Matrixをご紹介させていただきました。過去二回のコラムでは、

1)世の中にあふれかえっている様々な脅威と皆さんに影響しうるリスクの分別

2)リスクの中でも特に優先的に対応が必要な項目の見える化

 

についてご説明しました。この流れの中でご紹介したものがRisk Matrix。皆さん自身、もしくは所属されている企業/組織が活動場所で直面する「リスク」を総合的に評価するツールとしての有効な考え方です。

 

Risk Matrixはこれまでなんとなく、「リスク」ととらえてきたものを見える化し、本当に対策が必要な脅威要因が何か、を分析するには最適のフレームワークと言えます。このため自分が渡航する場所、自分たちが活動している場所で何が危ないかわからない、という方はRisk Matrixを使って皆さんの周りに存在する「リスク」のうち、優先的に対応すべき事項がどれか、ぜひとも活用して導き出してみてください。

 

2014 年時点のパキスタンで日本企業が直面している「リスク」をRisk Matrix上に落とし込んだもの

 

ただし、このRisk Matrixが優れている理由は総合的な「リスク」を踏まえて優先的に対応すべき脅威要因を割り出せるから、だけではないのです。その理由は、Risk Matrixを作ることにより、皆さんに必要な安全対策の項目も同時に浮き彫りになってくるからです。

 

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Risk Matrixでわかる安全対策の二つの軸

次の図を見れば、皆さんが割り出した脅威要因にどのように対応すればよいのか見えてくるのではないでしょうか?

risk-prevention-mitigation
Risk Matrixに隠された安全対策の2つの要素

 

既にお伝えしたようにこのRisk Matrixでは

 

「リスク」=発生頻度×被害の影響度

 

に分解して掛け算の形で表していました。

「リスク」を回避する、つまり適切な安全対策措置を講ずるということは

1.発生頻度(被害に遭う確率)を下げる

2.万が一被害に遭っても被害の影響度を下げる

の二つの要素に分解できることがわかります。

 

安全対策で用いられる単語を使うと

上記1.は予防措置(Prevention)

上記2.は被害軽減措置(Mitigation)

という表現になります。

 

予防措置によって何らかの被害が発生する確率を下げること、加えて、被害軽減措置によって万が一被害が発生する事態が生じても影響度を下げるように(死亡ではなく怪我ですむように、施設の全壊ではなく一部破損ですむように)することの組み合わせが重要ということになりますね。

 

ビジネスでもそうですが、複雑な全体像をそのまま理解しようとするのではなく、いくつかの要素に分解し、それぞれに対応を検討していくと答えが出ることがあります。

 

「適切な安全対策を検討する」

 

と大きく課題を設定すると、行き詰ってしまいそうですが、

 

・危ない目に遭わないようにするにはどうしたらいいか?

・もし危ない目に遭っても被害を軽くするにはどうしたらいいか?

 

をそれぞれ考えるようにすると、糸口が見えてきそうですね。次回は代表的な予防措置と被害軽減措置についてご説明します。

 

続きはこちらから ⇒ Risk Matrixから必要な安全対策は見えてくる(後編)

この項終わり