海外で犯罪被害に遭う日本人の数

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海外は本当に危ないのか?

 

海外安全、海外安全、と言っているけれども、そもそも本当に海外はそんなに危ないのか?という疑問をお持ちの方も多いと思います。

 

自分の友人で楽しそうに世界一周して帰ってきたヤツがいる

知り合いの家族は海外で駐在生活を満喫している

自分も何度も海外旅行に行ったが危ない目に遭った記憶はない

 

といった方は多いでしょう。

日本で報じられるテロのニュースなどを見ていても「邦人の被害は報告されていません」といった補足説明がなされていることが多く、日本人が犠牲になる事件が毎日とめどなく発生しているわけではありません。また、実体験として危ない経験をしたか、そうでないか、によってもご意見が分かれるところだと思います。

 

今回は公表されている数字を用いて、日本と海外とどちらがよりリスクが高いと言えるのか、検証してみたいと思います。

 

 

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外務省が公表している「海外邦人援護統計」

まず真っ先に注目したいのは、実際にどのくらいの数の日本人が海外で大使館や総領事館等の支援を受けているか集計したデータ。各国の大使館や総領事館を管轄している外務省が「海外邦人援護統計」として発表しています。

このデータでは、外務省関係機関が実際に援護した日本人の数を集計している関係で、スリや暴行などを受けても大使館等に届け出をしていない人は数に含まれていません。そのため、資料の注意書きにも

 

「本統計は,在外公館で把握している邦人援護事案のみであり,海外で邦人が関係した全ての事件・事故等を網羅したものではなく,海外で発生した事件・災害等の件数を表すものではありません。」

 

と記載があります。つまり、少なくともこれだけの日本人の方が被害に遭っていますが、実際に被害に遭っている方はもっと多いですよ、という意味ですね。

 

2018年6月8日時点では2017年度版の統計が公表されていませんので、2016年度版の数字を見てみましょう。まず全世界で被害に遭った日本人の方の数。これは20,437人となっており、過去10年間では二番目に多い数です。では海外に渡航した方全体の数は何人だったか、というと17,116,420人となっています。この二つの数字から、おおよそ1000人に1人以上は海外で何らかの被害に遭っていると言えますね。

繰り返しになりますが、この数字はあくまで被害に遭った上で大使館や総領事館に援助を求めた人の数です。実際にはこの数字以上に海外で危険な目に遭っている方は多いと思います。

日本人で海外に滞在している人のうち1000人に1人以上が、ことの重大さはさておきなんらかの不幸な事態に出会っているという事実。主観的な評価は別として、事実としてお伝えしておきたいと思います。

 

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国際的に比較してみると・・・

では、日本は外国と比べて安全なのか?と問われたらどうでしょうか?

いくつかのレポートが日本の安全性を示唆していますので、こちらも併せてご紹介したいと思います。

 

一つはInstitute of Economics and Peace が発表している「Global Peace Index (世界平和指数)」という指標。この指標は犯罪の発生率や暴力的なデモ、テロの発生率や件数のほかに治安当局の能力、核兵器の保有実態等までを指数化して総合的に評価したものです。最新版の平和指数では日本は163か国中10位となっています。

同じ組織が発表している「Global Terrorism Index(世界テロ指数)」というテロの脅威に特化したランキングもあります。こちらは順位が低いほうがより安全、ということになりますが、日本は同じ163か国中58位となっています。

 

出展 Institute of Economics and Peace

 

同じ英エコノミスト誌の関連機関ではありますが、EIU(Economic Intelligence Unit)が発表している「Safe Cities Index」という都市別安全度合いランキングもあります。こちらはなんと東京が世界で最も安全な都市として評価されています。日本で評価対象となったもう一つの大都市、大阪は第三位。つまり、都市別でみると、少なくとも世界の主要な都市のどんなところであっても、東京や大阪と比較すると安全ではない、という推測が成り立ちそうです。

 

出展 EIU

 

海外に駐在・渡航されている方の1000人に1人以上が大使館や総領事館に支援を求めている、ということ。また日本や日本の主要都市は世界の他の国・都市と比較して安全な環境であると評価されていること、を確認いただければと思います。