【事案分析】クリミア地方ケルチ工科大学襲撃事案

トップ画像は事件現場から負傷者を運び出す救急隊員(ロシア現地メディア映像よりキャプチャ)

 

事案の概要

〇10月17日(水)日中、ロシアが実効支配しているクリミア地方、ケルチの工科大学で銃撃事件が発生

〇報道によれば学生19名と自殺した犯人合計20名が死亡、50名以上が負傷した

〇実行犯はVladislav Roslyakovという名前の18歳の学生と報じられている

〇複数の目撃証言を総合すると犯人はまず食堂で何らかの爆発物を爆発させた後走りながら教室に向けて銃を乱射していった模様。複数回の爆発音を聞いたとの証言もある

〇実行犯は一連の犯行の後、同校の図書館で自分を撃ち自殺

〇現時点までいわゆる国際テロ組織から犯行声明は発表されていない

〇ロシア治安当局は当初「意図的なテロ行為」と発表したが、事件の捜査結果を踏まえ「大量殺人」に切り替えて背景等を捜査中

〇犯人はあまり社交的ではなく、学校や教師を恨んでいたとの証言もなされている

〇ロシアの後ろ盾を得ているクリミア議会の議長やロシア政治家らは本件についてウクライナの関与を示唆する発言をしている

事件現場のあるケルチの位置図

 

簡易な分析コメント

〇現時点では詳細が不明ですが、各種報道や事件現場となった学校の監視カメラ映像等からは、単独犯による学校内での無差別殺人事件と思われます

〇犯人は次の写真の通り、ロシア系と思われる見た目でした

〇食堂と思われる場所での爆発で、前面のガラス戸等は破壊されていますが、地面に大きな穴が開いたり、建物の基礎構造が破壊されているということはなく、爆発物の威力はそれほど高くなかったと推定されます

〇他方で、一部報道によれば金属片による傷が致命傷となって死亡した被害者もいる、とのこと。爆発物にくぎや金属片を混ぜ込むと、爆発そのものの威力が低くとも、殺傷能力が高まることを理解して爆発物を作成していたことが読み取れます

〇現時点でISIS等の犯行声明は発表されておらず、また犯人がインターネット上でISISの考えに共鳴していたとの報道は見つけられませんでした

〇先般タジキスタンでISISが犯行声明を発表したテロ事件が発生しており、ISISはイラク・シリア地域から中央アジア~コーカサス地方への展開を目論んでいる可能性は否定できませんが、こと本件に関してはISISやその他国際テロ組織の影は見えません

〇なお、ロシアでは2004年、北オセチア地方ベスランで30名程度の武装勢力が中学校を占拠、子供186名を含む380名以上が死亡するという悲惨な事案が発生していました。