【参考情報】過激派武装集団は普段何をしている?

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「テロリスト」ってそもそもどんな人たちなのか?

世界各地でテロ事件が発生しています。

昨年末発表されたGlobal Terrorism Index 2018によれば、2017年のテロによる死者数は全世界で約19000人。アフガニスタンやイラク、ナイジェリアで急激にテロ死亡者数が減ったため、2015年、16年と比べて状況は改善しているようにも見えます。しかし、上記三か国以外でのテロ死者数はほとんど減っておらず、2000年代前半と比較して約2倍の水準を保っています。

 

Global Terrorism Index 2018 より

 

では、テロを起こしている人はどんな人なのでしょうか?

ヨーロッパやアメリカでは単独犯が車を暴走させたり、銃を乱射したり、というテロが発生しています。こういった犯行の多くは社会的に孤立していたり、経済的な困窮の結果過激主義になびいてしまい暴力行為に出るケースが多いです。

しかし、複数の人間が一斉に複数の場所を攻撃するいわゆる「同時多発テロ」や実行犯らが政府機関や治安当局の施設等を爆弾と銃撃で制圧した上で立てこもるなどの「複合テロ」は個人で実行不可能です。こういったテロを実行するためには複数の戦闘員を用意し、目的達成のために必要な戦闘技術を教え、戦闘員同士あるいは実行犯と司令部の連絡体制を構築しなければなりませんよね。

 

非合法組織、地下組織であるはずのテロリストグループ、過激派武装集団はどうやってリクルート、トレーニング、組織構築等を行っているのでしょうか?訓練をするならどこで?どうやって資金源を確保しているのか?

 

普段ほとんど意識しないだけに、疑問が次々とわいてきますね。

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「テロリスト」もトレーニングをしている

ちょうどいいタイミングでアフガニスタンタリバンが戦闘員を訓練する様子を動画で公開していました。残虐な映像は一切出てきませんので、ご参考までにまずはコチラの動画をご覧ください。(こちらはアフガニスタンタリバンの報道官と名乗る男のツイッターアカウントです。)

 

 

おそらくは基礎トレーニングだとおもいますが、大人9人が横になった幅を次々と飛び越えていく様子がわかります。飛び越えている幅はざっと3メートルくらいでしょうか?ご自身で同じようなことをやる場面をイメージしてみてください。これだけの跳躍は誰でもできるというわけではありません。基礎的な身体能力を鍛えていないとできませんよね。つまり、相当訓練された戦闘員が少なくとも数十人はいるということがこの動画だけでもわかります。

 

また、一瞬周囲の様子も映りますが、アフガニスタンの山岳地帯でそれなりに広けた場所を活用して『軍事訓練施設』としていることも伝わってきます。訓練の内容もさることながら、これだけの広さの野外スペースで堂々と訓練を行っていることも重要な情報です。米軍を中心とした世界各国の軍が支援するアフガニスタン政府とほぼ互角にアフガニスタン国内で戦える理由の一端がわかりますね。

 

 

ここでは紹介しませんが、この動画以外にも時々射撃の訓練や格闘訓練などの動画が公開されることがあります。非合法な武装集団とはいえ、かなり組織的に、そしてしっかりと訓練が行われているのです。決して、思い付きでテロを計画したり、実行したりしているのではないことがご理解いただけるのではないでしょうか?

 

 

単独で車両を暴走させたり、銃の入手が容易な国で乱射事件を起こすのは個人でもできますし、それほど戦闘訓練も必要としていません。しかし、大規模なテロ、それも大人数での「複合テロ」を警備が固い標的(政府施設や軍・警察関係機関、もしくは外国人拠点等)に対して行うことは個人では決してできません。

 

テロ事件が発生すると死者数や無関係の人を巻き込む手法に注目が集まります。そして、テロによる被害が無差別かつ残忍なことになるため、テロリストに対し「未開で野蛮、論理性の欠片もない連中」といったイメージが先行しがちです。しかしながら、テロリストにはテロリストのロジックがあり、また目的達成に向けてしっかりと準備をしているのです。

 

 

アフガニスタンタリバンが公開した動画から、テロリストと呼ばれる人たちの日々の暮らしを(ごくごく一部ですが)ご紹介させていただきました。

この項終わり