護身術は時間/距離稼ぎが目的

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紛争地で働く人向けの特別な安全対策講座

世界銀行やIMF、国連機関(UNHCRやWHO、IOM等)といった国際機関では、しばしば紛争地に乗り込み、必要な支援を行うもしくは支援のための協議を行うことが求められます。たとえ敵対する複数の勢力間で武力行使がなされている場所でも、もしくは大規模なテロや襲撃が頻発する状況下であっても、弱い立場にある人たちを守るための仕事があるのです。特に難民の保護や人道上最低限必要な衣食住の支援は紛争地でこそ必要性が高まる仕事、とも言えますね。

 

もちろん、世銀やIMF、国連機関が関係者を全くの丸腰、準備不足の状態で紛争地に送り込むことはあり得ません。リスクの高い国に関係者を送る際にはそれぞれの機関が独自に用意した特別な安全対策訓練を受けなければ現地入りできないような仕組みになっています。

 

例えばUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)傘下にあるe-CENTER(人道援助活動のための訓練センター)では紛争地で活動する担当者向けのSafety in the Fieldという安全対策訓練を実施しています。世銀とIMFは合同でSSAFE(Safe and Secure Approaches in the Field Environments)という訓練を実施しています。

 

代表の尾崎が所有するSSAFE参加者用Tシャツとテキスト表紙

 

紛争地やテロの脅威が高い地域で活動すると言っても、現地に入るのは退役軍人や警官OBばかりではありません。人道支援や国家開発のためには経済の専門家や農業の専門家、物資調達のスペシャリストなどが必要ですので、全員が全員武術や銃の取り扱いに慣れているわけではないのです。

 

そのため、現地活動中自分の身を自分で守るための特別な訓練を受けるのです。具体的には

 

テロ事件に巻き込まれた際の対応シミュレーション

防弾車で紛争地/テロ頻発地域を通過する際のルート設定の考え方

緊急事態の際にトランシーバーでどのように通信するか

銃や爆発物の威力を体感する訓練

 

など幅広い訓練プログラムが含まれています。

 

こうした訓練を経験することによって、国際機関の職員は紛争地/テロ頻発地域で活動し、無事に戻ってこられるように育成されるのです。

 

 

【次ページでは・・・国際機関での安全対策訓練の一部には護身術も含まれています】