不適切動画投稿者と無防備な旅行者は同じ

この記事のURLをコピーする

「ここまで騒ぎになるなんて…」という不適切動画拡散事件

お久しぶりです、代表の尾崎です。

私自身はあまり興味を持っていなかったのですが、周囲の方からいろいろ教えていただいて、ほほう、と感じたことが続きましたのでつぶやいてみたいと思います。

 

一時期下火になっていたように思いますが、最近いわゆる「バイトテロ」というのでしょうか、従業員による不適切動画投稿が話題になっています。尾崎が聞いた話では飲食店やコンビニ等の従業員が食品を不衛生に扱う動画をSNSに投稿し拡散、会社から多額の損害賠償を求められる事例もあるとのことでした。(バカッター、バカスタグラムという言葉も生まれているようですね)

 

特に飲食物は直接お客さんが口に入れるものですから、最低限の衛生状態は守られていて欲しいもの(途上国ではそんなこと言ってるとすぐ飢えてしまいますが・・・)。日本国内での常識に照らせば、たとえどんな雇用形態で働いていたとしても食品(商品)を不衛生に扱うことは許されません。ましてそれを誰もが見られる状態で動画を公開する、という行為に至っては尾崎の理解できる行動ではありません。

 

損害賠償を求められた方の一部は憔悴しきっているとの報道も目にしました。実際に動画を撮影したり、公開したことについて

 

「こんなことになるなんて・・」

「軽い遊びのつもりだったのに・・・」

 

という感覚なのかもしれませんが、結果は想定の範囲外に深刻になってしまったのでしょう。

 

尾崎自身、世間の制約などに縛られすぎることには否定的ですが、さすがにこうした「バイトテロ」行為の張本人には同情する気持ちにはなれません。意図的なサボタージュや悪意ある行為ではなく一生懸命やって失敗したのであれば、仕方ないと思うのですけどね。もうちょっとよく考えて、行動したらどうでしょうか、としか言えません。

 

こうした不適切動画問題は広く取り上げられているのですが、海外の安全対策でも似たような無謀行為が頻発しています。

 

海外安全メールマガジン登録

海外の実情を知らずに無防備に旅行に出ると

不適切動画云々は尾崎の専門分野ではありません。が、なぜこのことに触れたかと申しますと、似たようなことが海外旅行、特に海外で自分の身を守ることに関して似たようなことが起こっているからです。

 

昨年は武装勢力が事実上支配しているエリアを含め旅しようとしていた日本人の方がいましたし、つい最近も中学生がヒッチハイクでアメリカを横断する様子をツイッターで公開していました。(お二人とも、いろいろな経緯を経てご帰国されているはずです)

 

もう一人、これから海外に出ようとされている方でしょうか?

 

・「こんにちは」と「ありがとう」と1,2,3だけ覚えていれば大丈夫

・幸せを共有する気持ちがあれば大丈夫

 

というバックパッカーの講演での発言を拡散されていたこともありました。海外での危機管理を専門にする立場として、もし本気でこの講演内容を信じているのであれば問題です。

 

日々世界の政治や治安情勢の情報を整理したり、犯罪被害情報に目を通したりしていると

 

「(↑の)世界情勢の認識が明らかに間違ってますよ」

 

とお伝えしたくなります。そもそも「幸せを共有する」際の幸せが自分と相手で全然違うということもあり得ますからね・・・。異教徒を殺すことが神の意志に従うことであり、自分の幸せであるという感覚を持っている人だっているのです。

 

 

登壇されて発言された方はたまたまこんにちはとありがとうと1,2,3だけでなんとかなったのかもしれませんが、この発言を信じて海外に出られる方が同じように無事帰国できる保証は一切ありません。

 

不適切動画であればたとえ数千万円の損害賠償を請求されても、状況によっては示談金でなんとか解決できる可能性もあります。ただ、あまりに無防備な状態で海外に旅行し、現地で殺人や誘拐、凶悪犯罪に巻き込まれた場合、もしくは現地治安当局に拘束された場合、命を失うこともありえるのです。

 

海外に出るのは随分と簡単になりましたが、あまりにも無防備な状況で海外に出てしまうと不適切動画投稿と同じで

 

「こんなことになるなんて・・」

「軽い旅行のつもりだったのに・・・」

 

と悔やむことだってあり得ます。無防備でもテロや犯罪にたまたま巻き込まれなかった人はもちろんいますが、次もまた無防備なままで大丈夫とは限りません。極端に解釈すれば「準備はいらないから今すぐ海外に行け」といった発言をむやみに信じて海外に出られるのはさすがにやめたほうがいいでしょう。

少なくともこのページをご覧になっている皆さんにはこの認識を共有していただければうれしいです。

 

海外安全セミナー

「なんとかなる」「心配ないさ」ではなく最低限下調べを

ここまでご説明した通り、まったく無防備な状態で海外に行っても運よくテロにも犯罪にも遭わずに帰国する方は多くいらっしゃるでしょう。ただ、それはあくまで幸運に恵まれているだけ。次も同じようにうまくいくとは限りません。また、他の旅行者が同じように無事に帰国できるとも限りません。

 

海外を旅行するというのは、日本とは別の常識が存在する場所に行くということ。そして自分とはまったく異なる価値観を持った方とたくさん出会うということ。だから旅行は面白いのですし、人生における貴重な刺激になるのです。(尾崎は無防備な海外旅行を全否定しますが、海外旅行を否定する気持ちは一切ありません。むしろ適切に下調べをし、準備をして旅行を楽しむことは積極的に推奨したいと考えています)

 

世界各地には様々な価値観、考え方を持つ人がいます。

 

人前でお金を出したら盗んでくれというサイン

裕福なはずの外国人旅行者の物をスッても構わない

肌を見せながら異性と一対一で話をするのは体を許すのと同じ意味

異教徒を殺すのは神の意志。地元文化に反する行動をする外国人は積極的に殺すべし

 

といった価値観だってあるのです。加えて、日本では

 

「犯罪をする側が悪いのであって、被害者側の行動は責められない」

 

という価値観がありますが、上記のような日本と違う価値観が広くその社会に共有されている地域ではどうなるでしょうか?たとえお金やモノを盗まれても、性犯罪被害を受けても、最悪殺害されても

 

「そりゃあんたが悪いよ」

 

と言われて終わってしまう可能性だってあるのです。

 

 

そういった基礎知識を持たずに、日本と同じ行動をしていれば結果はどうなるでしょうか?自分の行動の帰結を想定せず、日本と同じように振舞っていると

 

「こんなことになるなんて・・」

「軽い旅行のつもりだったのに・・・」

 

という後悔をすることになるかもしれません。まさに不適切動画と似たような結末です。もっとも、こちらは生きていられれば、という条件も付きますが。お金は借金という形で一時的に所持金額がマイナスになっても生き伸びる仕組みがありますが、命の借金はできません。一度失ってしまうとそこで完全にアウトです。

 

 

似たような話を何度も繰り返してきましたが、命は一つしかないからこそ、何度繰り返してもいいくらい大事な話だと思っています。しつこいようですが、最後に一つだけ尾崎がよくする話を付け加えます。

 

 

世の中には「パレートの法則」と呼ばれる法則があります。物事はたいてい80%と20%に分かれるというもので、明確な根拠はありませんが、経験則的なものですね。尾崎は講演の最後にこんな話をすることがあります。

 

 

なにも準備をせずに海外に行っても80%は何の悪いことも起こらずに帰国できると思います。なぜなら、想像しうる悪いことの80%は起こらないから。でも20%の確率で悪いことは起こるのです。その時真っ先に被害に遭うのは無防備な方です。

では無防備ではない方はどうでしょうか?20%の確率で発生する悪いことのうち80%は事前の準備で被害を防げるのです。最後の20%は武装したボディーガードを付けるとか、アメリカ大統領クラスの防弾車に乗るとか、そこまでやらないと防げませんが、被害に遭う確率は4%くらいまで下げることができる計算です。つまり最低限準備を整えておけば96%は無事に帰国できることになりますね。

運だけで、無事に帰国した人の言う話だけを信じるのではなく、とりこし苦労(96)になってもいいので、安全を確保できるようぜひ旅行前の下調べ、準備を入念に行ってください。」

 

この項終わり