「働き方改革法」いよいよ施行、中小企業の対応は?

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海外での安全配慮義務が罰則付き法制化されたら・・・

 

さて、ようやく海外での話に移ります。

日本国内ではまもなく労働時間の削減や労働者の健康管理に向けた取り組みがかなり強化されますが、海外の駐在員の実態はどうなのでしょうか?この記事を書いている当日に昨年2月、ラオスの水力発電プロジェクトに従事されていた40代の方の死亡が「過労死」として認定されました。55日間連続で業務に従事し、亡くなる直前一か月の残業時間は180時間を超えていたと報じられています。

 

日本人従業員1人にかかるコストが国内とは比べ物にならない海外では日本以上に人手不足、業務過多の状況になっているのではないでしょうか?海外で従業員の安全、健康を守ることも企業側の義務のはず。しかし、国内での法規制対応だけでも大変な状況で、海外の事務所や支店の労働環境は改善されるのでしょうか?

 

今年から来年にかけて大企業及び中小企業がどのように労働環境を改善し、労働者の安全と健康を守る取り組みを進めるのか観察したいと考えています。この取り組みの一環として海外で関係者の安全を守るための投資や意識改革が進むことも期待しています。

 

今はまだ議論すらされていない状況ですが、労働時間の削減に続いてハラスメント防止義務も法制化される予定です。いつ、海外進出企業の従業員安全確保義務が法制化されるかわかりません。労働環境の整備であれば社会保険労務士やお医者さんなど相談相手も見つけやすいですから、最悪法制化後「泥縄式」の対応でも間に合うかもしれません。実際に日本商工会議所の調査によると中小企業で残業時間の上限への対応について対応済みなのは全体の46%、同一賃金について対応済みなのは31%とのこと。まさに法制化された後に駆け込みで対応する様子が推測されます。

 

しかしながら、安全対策は誰にどうやって相談すればよいのでしょうか?日本国内の市場が縮小する中、中小企業であっても海外への展開は必至でしょう。その時に今回のような「泥縄式」対応で間に合うでしょうか?また、長時間労働と違い、海外でテロや凶悪犯罪に遭遇した場合、対応を間違えると簡単に死亡事案につながります。違法な海外での事業実態に伴い、関係者が死亡したとなればその企業の評判は地に落ちることは間違いありません。

 

現時点では関連法規制はほとんどない状況ですが、海外に展開されている企業・団体の皆様はくれぐれも関係者の安全を守る仕組みをできる限り早く整えていただきたいと思います。法律がないから、罰則がないからでは済まされない事態になる前に。尾崎の切なる願いです。

 

 

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