実践的な安全対策のための武器知識

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実践的な安全対策のために『軍事オタク』になる必要はない

 

進出先の国・地域で流通している武器や銃弾の種類、またテロ・襲撃の手法等は自分たちの身の守り方を検討するために必要な情報です。銃と一口に言っても、様々な種類があり、射程距離や殺傷能力、銃弾の種類も多種多様です。爆発物にしても、その原材料は多岐にわたり、同じ重さの爆発物でも威力が全く異なることがあります。

 

では、そういった銃や銃弾、爆発物等について詳しく知らなければ安全対策はできないのでしょうか?海外の危険地域でセキュリティマネージャーとして働くのであればその程度の知識は必要でしょう。が、海外に出張や駐在で滞在する方や企業・団体の安全対策担当者として安全対策の管理をする方のレベルであれば、「多少知っている」レベルで十分です。

 

 

安全対策を完璧に実践しようとするあまり、本来業務とは無関係の武器知識で脳内メモリを浪費してしまうのはあまりにもったいないのです。皆さんが海外に渡航される目的はあくまで海外で何らかのミッションを達成するためのはず。そのためには皆さんの持てる事業上の能力をフルに発揮していただかなければなりません。安全対策をやるために時間と手間と才能が空費され、本来発揮すべき能力が発揮できなかった、というのは本末転倒と言っても過言ではありません。安全の確保はもちろん大事ですが、皆さんの能力を発揮するために必要であるという原理原則を譲ってはいけないのです。

 

 

時々、各国の戦車の種類やその能力、戦闘機の種類や能力、各国軍が標準的に使用しているライフル銃の違い、などについて非常に詳しい方に出会うことがあります。もちろんこうした知識は相手の「攻撃力」を正確に把握するという意味では大変役立ちます。ただ、そういった方が安全対策について的確にアドバイスできるか、といえば疑問です。一番最初にお伝えしたようにテロや襲撃の被害を防ぐ際の根本には相手の「攻撃力」に対し十分な「防御力」を用意するということでした。攻撃力だけを詳細に知っていても各種の防御策と最適な配置ノウハウがなければ防御力を高めることができないためです。

 

現実はサッカーゲームのように単純ではありません。軍事オタクと呼ばれる方を馬鹿にするつもりは決してありませんが、実践的な安全対策のためには、武器の知識だけでは十分ではないということをご理解ください。

 

 

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