バングラデシュ治安最新情報(2024年3月)/海外安全.jp


0.日本人向けの緊急連絡先

◎在バングラデシュ日本国大使館:+880-(0)2-2222-60010

同大使館あての緊急時連絡先:+880-(0)961-099-8492
(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察 :999

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

2016年に首都ダッカで発生したレストラン襲撃テロの直後はバングラデシュに対するリスク評価について各国政府の間で差がありましたが、2021年後半以降、日・米・英・豪すべての国のリスク評価はほぼ同じとなりました。

オーストラリア政府が最も高い警戒レベルを維持していますが、いずれの政府もチッタゴン丘陵地域について他地区より一段階高いレベルの警戒情報を定めています。チッタゴン丘陵を除く地域については、一定の注意喚起はあるものの、日・米・英の参加国は渡航を控えるよう呼びかけるほどのリスク評価は行っていません。

【海外安全.jpのコメント】

2016年以前は南アジア地域各国の中でも、比較的安全とされていた国でした。大規模政治デモによる道路封鎖が頻発する等、政治的に不安定でしたが、テロに分類されるような事案はほとんど発生していなかったためです。
しかしながら、2016年以降は外国人も犠牲になる事案が複数発生しており、特に同年7月1日のダッカレストラン襲撃事件では日本人の方も7名がお亡くなりになっています。同事件後治安当局は断続的にテロを計画するような過激主義者を摘発しています。
ここ四年ほど、大きなテロは発生していませんが、各国政府は引き続き高いレベルで警戒が必要であるとしています。現地での活動が必要な場合は、渡航前に十分現地事情を調査し、安全対策を検討した上で、渡航することをおススメします。併せて、渡航前に日本政府外務省が運営する「たびレジ」で具体的な渡航日程の登録を強く推奨します。

2.日本政府の危険情報

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日本政府はチッタゴン丘陵に対し「レベル2:不要不急の渡航はやめてください」を設定し、それ以外の地域には「レベル1:十分注意してください」を設定しています。
2016年7月に発生したダッカでのレストラン襲撃事件で日本人7名が殺害されたことも踏まえ、約3年にわたり全土をレベル2に設定し、「テロに対する特別警戒」が必要である旨記載していましたが、治安が改善傾向にあるとして2019年10月に一部地域をレベル1に引き下げました。

2021年11月には首都ダッカを含むダッカ管区のテロ警戒レベルも下げられるとのリスク認識のもと、同管区もレベル1に引き下げられました。

他方で、現地でテロ被害に遭わないためにもテロの標的となりやすい施設への訪問を控える、普段から目立たないように行動する、といった注意事項については、非常に詳しい記載が残っています。

[行動]
●行動予定を多くの人に知られないようにし、目立たないように行動する。
●通勤や買い物の際は同じ経路や時間帯を使わないなど、日常の行動パターンをできるだけ固定しないようにする。
●外出時の移動は車両を利用する。
●早朝・夜間の外出は極力控え、日中の時間帯に用事を済ませる。
●車両駐車時、特に車両昇降時は、車両に不審者や不審車両(バイク等を含む)が近づいていないか慎重に周囲の状況を確認する。

[訪問場所・時期]
●最新の治安情勢について情報収集に努め、滞在先や個別の訪問先の治安状況や警備体制を常に確認する。
●テロの標的となりやすい場所(※)への訪問を控える。これらの場所を訪問する必要がある場合には、滞在時間を短くする、避難経路を確認しておく等の安全対策を必ず講じる。また、周囲の状況には常に注意を払い、不審な状況を察知したら、速やかにその場を離れる。
※外国人が多く集まるレストラン、欧米関連施設、政府施設、公共交通機関、観光施設、宗教施設、ショッピングモール、公立学校や市場など[時期等]
●宗教行事、季節的な行事や大規模イベントの際は、不要不急の外出は控える。
●イスラム教では、金曜日が集団礼拝の日とされており、その機会を利用してテロや襲撃が行われることがあるので、宗教施設などテロの標的となりやすい場所には極力近づかない。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー


ダッカ/チッタゴン丘陵地帯


上記以外の地域

アメリカ政府はダッカおよびバングラデシュ南東部(チッタゴン丘陵地帯)に対し、4段階中上から2番目の「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」を発しています。それ以外の地域に対しては「十分警戒してください:Exercise increased caution」を発し、一般犯罪とテロの脅威が高いことを明記しています。

また、具体的なアドバイスとして以下二点明記しています。
・デモや政治集会を避けること
・強盗には抵抗せず、安全な場所に逃げてから通報すること

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症の影響で一時全土に対し「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されていましたが、現在は感染症拡大前と同様にチッタゴン丘陵地域を除いて「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」までリスクレベルが下げられています。

 

現在地図が表示されていませんが、文面で説明されているリスク設定は新型コロナウイルス感染症拡大前に掲載されていた地図上でのリスクレベル表示と同じです。

イギリス政府はチッタゴン丘陵地域を「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」、それ以外の地域を「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」としています。

イギリス政府が最も注意を払っているのは、隣国ミャンマーから流入しているロヒンギャ難民問題です。その次に全土を対象として、テロの危険性がある点注意喚起しています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、オーストラリア政府は全ての外国に対し「Do not travel : 渡航を止めてください」を設定していました。現在は感染症リスクを背景とした一律の渡航自粛勧告は終了しており、バングラデシュの大部分は「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にまでリスクレベルが引き下げられています。他方で、チッタゴン丘陵エリアについては政治的背景を有する暴力や誘拐のリスクがあるとして「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されています。

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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。
バングラデシュに対しては東部チッタゴン丘陵地域に対し、二番目に危険度が高い「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」を設定していますが、それ以外の地域については首都ダッカを含め「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されています。

2016年7月にダッカで発生したテロ以降、2019年現在も全土でテロリスト容疑者の逮捕が続いていることが明記されています。今後もバングラデシュ国内でテロが発生する可能性が指摘されており、滞在中は常時現地メディアの情報をチェックすること、身の回りの安全確保を怠らないこと、が推奨されています。

6.最近の治安ニュース

バングラデシュ首都反政府抗議活動での衝突(2023年10月28日)

バングラデシュ書籍見本市への爆破予告(2023年2月24日)

バングラデシュ北東部野党支持者と警察の衝突(2021年12月22日)

2019年3月28日首都ダッカ市内中心部にあるオフィスビル「ボナニFRタワー」で火災が発生し、少なくとも25名以上が死亡、100人以上が負傷しました。火災のあったビルには日本企業も入居していましたが、在バングラデシュ日本国大使館によると日本人の死傷者はなかったとのこと。
ただし、同オフィスビルは18階建てとして建築許可を取得していたものの、実際には22階建てであったことや避難梯子等必要な消防設備が設置されていなかったこと、非常口が施錠されていた等多数の問題点があったことが報じられています。

 

日本では建築基準法や消防法が守られていることはオフィスビルに入居する際、確認する以前の前提条件ですが、これは世界的にみると「当たり前」とは言い切れません。(もちろん規則通りに建築、運用されているビルも多数ありますし、規則通りでも火事や地震の被害は発生しますが)

途上国で自前のビルを建設することは非現実的ですので、海外の拠点設置=現地のビルにテナントとして入居するというスタイルになるはず。その場合は避難経路の確保や避難訓練、自前の消火器準備等絶対に必要であるということを端的に示す事例です。

【参考コラム】「海外の事務所や拠点で避難訓練していますか?」

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