イラン治安最新情報(2024年4月)/海外安全.jp


0.イランにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在イラン日本国大使館  :+98-21-2266-0710

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察 :110

◎救急 :115

◎消防 :125

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

2024年4月以降イスラエルとイランとの間で軍事衝突の恐れが高まっており、日・米・英・豪4か国ともイランへの渡航を控えるよう自国民に呼び掛けています。国交のないアメリカを筆頭に英・豪はそれ以前から渡航を控えるよう呼びかけていましたが、2024年4月14日付で日本政府外務省もイラン全土に対する危険情報を引き上げて対応しています。

【海外安全.jpのコメント】

2020年以降英・豪の2カ国は自国民に対しイランへの渡航を一切推奨しておらず、退避勧告相当のレベルを設定していました。2024年4月イスラエルによるシリア国内のイラン軍関連施設への空爆を契機として両国間の軍事衝突の懸念が高まっており、現状イランに新たに渡航することはおススメできません。

2.日本政府の危険情報

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「レベル4:退避してください」が設定されている地域

・パキスタンとの国境地帯

・ケルマンシャー州及びイーラーム州のイラクとの国境地帯

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

・首都テヘランを含む上記を除く全土

2024年4月14日、イラン軍はイスラエル国内多数の地点に対しミサイルやドローンによる攻撃を実施しました。これを受けイスラエル政府がイランに対する反撃を実施することが想定され、日本政府外務省も危険情報を引き上げました。首都テヘラン等ではレベル1からレベル3まで一気にリスクレベルが引き上げられています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー


全土に「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。イランとアメリカの間には国交はなく、依然として国家同士の対立が継続しています。トラベルアドバイザリー上もアメリカ人というだけで逮捕される恐れがあり、渡航を中止するよう求められています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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イギリス政府はイランに対し、最も厳しい「渡航を推奨しません:Advise against all travel」を設定しています。これはイギリス国籍者に対しイラン政府が身柄の拘束などを行う可能性を踏まえたものです。

テロの危険性が記載されているとともに、厳格なイスラム教国家であり、イスラム法に基づく統治がなされている点注意するよう記載されています。

なお、2024年1月イエメンを拠点とし、紅海周辺で商船等の襲撃、近隣国へのロケット砲発射等を続ける武装勢力フーシ派に対し、米英連合軍が空爆を行いました。事実上の軍事衝突が発生している状況とも解釈でき、情勢が急変する可能性も否定はできません。英国政府は1月12日付で中東一円18の国と地域のトラベルアドバイスを更新し、「状況によってトラベルアドバイスが急に変更される可能性がある」との記載を追加しています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で多くの国に対してはリスクレベルが引き下げられていますが、イランへのトラベルアドバイスは「Do not travel : 渡航を止めてください」のままで据え置かれています。

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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

オーストラリア人を含む欧米系住民に対する恣意的な拘束等の可能性があるとして、全土に5段階中最も警戒レベルの高い「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。いつ何時、状況が変わるかわからないため、常に現地最新情報をモニターするよう呼びかけられています。

6.最近の治安ニュース

イラク北部エルビルへのイランによる攻撃(2024年1月16日)

米英連合軍によるイエメン武装勢力空爆の影響(2024年1月12日)

イラン南部ケルマンでの爆発(2024年1月3日)

イラン全土女性の服装取り締まりへの抗議デモ(2023年9月)

イラン南部シーア派寺院での銃撃事案(2023年8月13日)

イラン南部シーア派寺院襲撃事件(2022年10月26日)

イラン国内各地死者を伴う抗議活動(2022年9月)

 

2020年1月3日、アメリカがイラク国内でイラン軍幹部を殺害しました。イランとアメリカの間で軍事的衝突を含む対立の先鋭化が懸念される事態となっています。

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