イラン南部ケルマンでの爆発

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2024年1月3日イラン南部ケルマンで少なくとも2回の爆発が発生し、少なくとも103名が死亡、141名が負傷しました。2020年同日に米軍の作戦によって殺害されたイラン軍指導者ソレイマニ氏の墓付近で発生した事案です。犯行声明等は発表されていません。

 

一回目の爆発はソレイマニ氏の墓から約700メートルほどの地点、二回目の爆発はそこから更に300メートル離れた地点で発生したと報じられています。爆発後追悼に訪れていた大勢のイラン国民らが逃げようとする様子が動画等で拡散しています。

 

ソレイマニ将軍はイラン革命防衛隊の指導者としてイラン国内では多くの国民から慕われていましたが、2020年イラクを訪問中に米軍の軍事作戦により殺害されています。今般ソレイマニ氏の命日に大勢が弔問に訪れており、一連の爆発はソレイマニ氏の支持者やイラン国民が多く集まる場所を狙ったテロと言えます。ただし、現時点で犯行主体は判明していませんが、イラン政府は本件をテロとして非難した上で、誰が実行犯であっても処罰を与えるとしています。

 

なお、2020年1月3日米軍がソレイマニ氏をイラク国内で殺害した際、欧米諸国は中東諸国全域でリスクレベルが上がりうるとしてトラベルアドバイスを順次改訂しました。今般の事案も直近イランを含む中東情勢が緊迫化している中で、イランの一般国民が多く犠牲になっていることを踏まえれば当面の間周辺地域一帯で人が多く集まる場所、欧米諸国及びイスラエル権益関連の場所への接近を控える等慎重な行動が必要と言えます。

 

追記

本件に対し、1月4日ISISが犯行声明を発表しました。ISISはシーア派住民に対しするテロ・襲撃を繰り返してきた経緯があります。イランはシーア派の中心的な国であることからその活動原理と今回の犯行声明に齟齬はありません。他方で、イラン大統領はイスラエルが関与していたとして批難声明を発表しています。

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