レバノン治安最新情報(2024年4月)/海外安全.jp


0.レバノンにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在レバノン日本国大使館   :+961-(0)1-989751~3

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察  :112

◎救急  :140

◎消防  :175

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

2023年10月7日以降のイスラエルとパレスチナ武装勢力の軍事衝突に関連し、レバノンを拠点とする武装勢力とイスラエル軍間でも砲撃の応酬などが行われています。日・米・英・豪ともに順次レバノンに対するリスクレベルを引き上げています。アメリカ政府は10月17日付、イギリス政府は10月18日付、オーストラリア政府は10月19日付でレバノン全土を最も高いリスクレベルに設定しています。

【海外安全.jpのコメント】

レバノンでは特にシリア、イスラエル国境での武力衝突リスクが極めて高い状況です。過去の軍事衝突の影響で一部地雷が残置されている地域も残っている他、国境を越えた砲撃等事態が急変してもおかしくないことを理解いただく必要があります。2023年10月時点ではイスラエル軍とレバノンを拠点とする武装勢力の衝突が収束する目途が立っておらず、一般の方がレバノンに入ることは推奨しません。

真にやむを得ずレバノンに入国する場合には、万が一レバノン国内で不測の事態に巻き込まれた場合でもすぐに大使館や駐在官事務所と連絡がつくよう、連絡先カードを作成することも強くおススメします。

2.日本政府の危険情報

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「レベル4:退避してください。渡航は止めてください」が設定されている地域

レバノン南部のイスラエルとの国境地域(国境から4キロ)

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

上記以外の地域

 

イスラエル軍とレバノンを拠点とする武装勢力の間で軍事的な衝突が発生していることを踏まえ2023年10月18日付、10月20日付と短期間で連続して危険情報が引き上げられました。現在は国土の主要部分が危険情報レベル3:渡航はやめてくださいになっており既に滞在されている方に対し商用便が運航している間の出国を検討するよう呼び掛けられています。

 

戦争以外でも、過去大きな爆発事案が発生したベイルート南側(ダーヒエ地域)は近年テロ事案の発生が減っているものの、旅行者を狙った強盗などに引き続き警戒が必要である旨記載があります。

レバノンでは公式な犯罪統計がないものの、各種報道をまとめると日本に比して犯罪発生件数が非常に多いと推定されています。特に銃を用いた強盗、傷害事件等の発生が多く、都市部を中心にバイクによる引ったくりや大麻等の違法薬物の売買、死傷者を伴う銃撃事件等も発生していることが明記されています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー


従来から最も高いリスクレベルが設定されていた

シリア国境付近

イスラエル国境付近

パレスチナ難民キャンプ周辺

に加え、2023年10月17日付で首都ベイルートを含む全土が武力紛争のリスクを考慮し最もレベルの高い注意喚起である「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています

アメリカ人でレバノンへの渡航を希望する人は現地アメリカ大使館の支援が必ずしも十分に行われないことも想定して、命を守るための十分な対策を講じるよう推奨しています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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2023年10月18日付で英国政府はレバノン全土に対し「渡航を推奨しません:Advise against all travel」を設定しました。これまで犯罪への警戒を促す程度のレベル設定だった地域も含めイスラエルとレバノンの軍事衝突を踏まえ、レバノンから退避するよう呼び掛けがなされています。

 

また、2024年1月イエメンを拠点とし、紅海周辺で商船等の襲撃、近隣国へのロケット砲発射等を続ける武装勢力フーシ派に対し、米英連合軍が空爆を行いました。事実上の軍事衝突が発生している状況とも解釈でき、情勢が急変する可能性も否定はできません。英国政府は1月12日付で中東一円18の国と地域のトラベルアドバイスを更新し、「状況によってトラベルアドバイスが急に変更される可能性がある」との記載を追加しています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

2023年10月19日付でオーストラリア政府はレバノン全土に対し「渡航を取りやめてください:Do not travel」を設定しました。イスラエルとレバノンを拠点とする武装勢力の衝突が続発していることを受け、レバノンからの早期退避が呼び掛けられています。

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6.最近の治安ニュース

米英連合軍によるイエメン武装勢力空爆の影響(2024年1月12日)

レバノンとイスラエル国境での砲撃応酬(2023年10月8日)

レバノン南部イスラエルとの砲撃・空襲の応酬(2023年4月)

レバノン首都銀行での放火事案(2023年2月16日)

レバノン南部国連監視団への襲撃(2022年12月14日)

レバノン相次ぐ「預金者強盗」事案(2022年7月)

レバノン第二の都市での暴動(2021年1月27日)

レバノンテロ行為計画の摘発事案(2020年12月)

2020年8月5日レバノン首都ベイルートの港湾部倉庫に保管されていた硝酸アンモニウムに何らかの原因で引火し、大きな爆発が発生しました。少なくとも130名以上が死亡し、約5000名が負傷しています。

 

2020年1月3日にアメリカ軍はイラン軍幹部をイラク国内バグダッドでのドローン攻撃によって殺害しました。8日にはイラン軍がイラクにあるアメリカ軍拠点二か所に対し弾道ミサイルを撃ち込む報復攻撃を実施しました。中東を中心として情勢は不安定になっており、各国政府も自国民に対し、身の安全を守るため警戒を高めるよう呼びかけています。

 

2019年10月17日現地夜から、政府が検討中の緊縮財政・増税案に反対する市民らによる抗議活動が国内各地で発生しました。一部参加者は道路上でタイヤを燃やしたり、治安当局と衝突したりしています。道路の移動が困難になる他、衝突による巻き添え被害に遭わないよう、現地最新情報に注意が必要です。

レバノン緊縮財政に対する反政府デモ

2019年9月1日イスラエル北部レバノンとの国境付近でレバノン側、イスラエル側双方からの砲撃、銃撃を含む武力衝突が発生しました。この地域での大規模な武力衝突は2015年1月以来の出来事です。在レバノン日本国大使館からは周辺地域に当面の間近づかないよう注意喚起がなされました。

 

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