チュニジア治安最新情報(2024年2月)/海外安全.jp


0.チュニジアにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在チュニジア日本国大使館   :+261 -(0)71-791-251 、+261 -(0)71-792-363

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察 :197

◎救急 :190

◎消防 :198

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

日・米・英・豪すべての国で基本的な治安認識は合致しており、西部アルジェリアとの国境地帯、南東部リビアとの国境地帯及び西部カスリン県に対してはいずれの国も他地域よりも高いリスクレベルを設定しています。こうした地域では武装勢力やテロリストの活動が他地域に比して活発であるとされています。こうした地域への立ち入りについてはいずれの国も控えるよう呼びかけている点に十分な注意が必要です。

他方で、新型コロナウイルス感染症の影響を除けば首都チュニスを含む国土の主要部分にはそれほど高いレベルは設定されていません。犯罪については、いずれの国も発生事例が記載されているものの、他国と比して相対的に注意喚起のレベルは高いとは言えません。

【海外安全.jpのコメント】

各国のリスクレベルにある通り、アルジェリア国境、リビア国境及び南部砂漠地帯、カスリン県のシャンビ山周辺は武装勢力の活動が懸念されることから、一般の方の立ち入りはおススメできません。

他方で、アフリカ大陸の地中海沿岸諸国の中では首都チュニスやスース、スファックス等地中海沿岸の都市部は比較的治安情勢がよいと言えます。2015年~2016年にかけて相次いだテロを受けて、チュニジア当局は日本を含む諸外国から治安維持能力強化の施設や人材育成支援を受けたことで治安対策能力が強化されたと評価できます。日本と同じような感覚でいると犯罪被害に遭う可能性はありますが、貴重品の管理を怠らない、公共の場所では周囲に十分注意する、夜間の徒歩移動は極力控える、といった基本的な注意事項を厳守することでリスクをかなり低減できると言えます。

なお、交通ルールは非常に混とんとしており、現地に慣れていない日本人にとっては移動中の事故のリスクは高いと言えます。短期の旅行での滞在の場合は極力自身での運転を避け、また道路を横断する際には信号に関わらず常に左右の確認を怠らない、といった慎重な行動を強くおススメします。

2.日本政府の危険情報

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「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域
アルジェリア及びリビアとの国境地帯を含む南部砂漠地帯の一部

西部カスリン県

「レベル2:不要不急の渡航を止めてください」が設定されている地域

ジャンドゥーバ県(タバルカに至る幹線道路(国道7号線)以北を除く)

ケフ県

シディブ・ジッド県

ガフサ県

トズール県(アルジェリア国境付近に限る)

南部砂漠地帯の一部(ネフタ、ドゥーズ、クサール・ギレン、タタウィン、メドニン、ザルジスの各都市を除くそれより南方の一部地域)

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

首都チュニスを含む上記を除く全土

日本政府外務省はチュニジアに対し、比較的高いレベルの危険情報を設定しています。特に2015年に発生した首都チュニスでの博物館襲撃テロでは日本人も3名が死亡していることが明記されています。

その後、チュニジア治安当局の警戒態勢強化もあり首都チュニスを含む国土の主要部分では治安情勢が落ち着いてきていると評価されています。ただし、西部カスリン県や南部の砂漠地帯等では武装勢力が拠点を有しているとされており、特に警戒が必要であるとされています。

また、チュニジアは日本と比して治安が良いとは言えない、と明記されており特に刃物を用いた強盗事件はもちろんのこと、スリや置き引き等を含む一般犯罪に日本人が複数巻き込まれていることも記載されています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

・南東部リビアとの国境から30キロの範囲

・アルジェリアとの国境付近(アインドラハムよりも南方、15号線より西側、エルケフ、カスリーヌ付近)

・西部シャンビ山周辺

・レマダよりも南側

・中央部シディ・ブ・ジッド付近

上記地域については「渡航を中止してください: Do not travel」に指定されており、テロの危険性が高いことから立ち寄らないよう注意喚起がなされています。

上記を除く全土

上記以外の地域は「十分警戒してください:Exercise increased caution」にとどまっていますが、国土全体で特にテロ事案への警戒を怠らないよう、注意喚起が行われています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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「渡航を推奨しません:Advise against all travel」が設定されている地域

  • シャンビ山周辺
  • 南部砂漠地域の軍管轄地域
  • リビアとの国境から20キロ以内の地域
  • ベンカルダン周辺

「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」

  • リビアの国境から75キロ以内の地域
  • カスリン県
  • カスリーヌ県以南のアルジェリア国境から10キロ以内
  • ジャンドゥーバ県西部
  • 中央部ムギラ山の周辺10キロ以内
  • 中央部オルバータ山

「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」
上記を除く全土

首都チュニスを含む、国土の大部分が緑色で表示されているものの、全国的にデモやテロのリスクが高いことが記載されています。特に2015年、スースで発生したリゾートホテル襲撃テロ(38名死亡)の発生に言及し、イギリス人を含む西欧人を標的としたテロの発生が否定できない旨記載があります。

加えて、2021年7月には議会解散や首相の辞任を要求する反政府デモが一部暴徒化した事例もあります。主要都市では、抗議活動や暴動が突如として始まる可能性が指摘されており、常に現地情報を入手するよう推奨されています。

スリや置き引き等の窃盗が多く発生していることが明記されています。暴力を伴う強盗事案はそれほど数が多くはないものの、発生していると記載されており、常識的な犯罪対策を怠らないようアドバイスされています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日、2022年7月29日と順次リスクレベルが引き下げられています。現在チュニジアの主要部分は「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されています。

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アルジェリアとの国境から30キロ、リビアとの国境から40キロの範囲、カスリン県にはコロナとは無関係に「Do not travel : 渡航を止めてください」が設定されています。武装勢力による活動やテロリストの掃討作戦が継続していることが背景となっています。

また、ジェンドゥーバ県、ケフ県、シディ・ブジット県の3県とネフタ、ドゥーズ、メドニン、ザルジスの各都市を含むそれより南方の一部地域はテログループの活動や誘拐被害も発生していることを踏まえ、「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されています。

首都チュニスを含むその他の地域は「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」のレベルにとどまっています。しかしながら、これら地域でもテロの脅威は否定しきれない点注意喚起されています。

6.最近の治安ニュース

チュニジア首都治安要員の刺傷事案(2023年7月3日)

チュニジア首都ブラジル大使館前での警官刺殺事案 (2023年6月19日)

チュニジア中部ユダヤ教宗教施設銃撃事案(2023年5月10日)

チュニジア首都ユダヤ教施設での刺傷事案(2022年6月24日)

チュニジア首都での警察官襲撃、省庁侵入未遂(2021年11月26日)

チュニジア東部スファックス市デモによる死者(2021年11月10日)

チュニジア反政府デモに伴う首相解任(2021年7月25日)

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