日本人スリ被害続発!油断と無知は犯罪を呼び込む

この記事のURLをコピーする

日本人被害続発!在ポルトガル日本国大使館のスリ被害注意喚起

2026年6月20日、在ポルトガル日本国大使館は、6月に入ってから日本人旅行者のスリ被害が相次いでいるとして注意喚起を発出しました。被害はリスボン市内の主要観光地──BAIXA地区、BAIRRO ALTO地区、AVENIDA DA LIBERDADE地区、BELEM地区、CAIS DO SODRÉ地区、PARQUE DAS NAÇÕES地区──を中心に、ホテル、レストラン、公共交通機関など幅広い場所で確認されています。

 

在ポルトガル日本国大使館が発したスリ被害注意喚起(2026年6月20日付)

 

ポルトガルは欧州の中でも比較的治安が良い国として知られています。外務省の危険情報でも「レベル0(特段の注意喚起なし)」のまま、地図上は白色です。アメリカ、イギリス、オーストラリアなど主要国の渡航情報でも、ポルトガルは比較的安全な国として扱われています。

【参考】ポルトガル治安最新情報

しかし、この安全というイメージこそが、今回の日本人被害の増加を招いた最大の落とし穴だった可能性があります。治安が良い国であっても、観光地には必ずスリ集団が存在します。彼らは暴力を伴う強盗ではなく、観光客の油断を突いて財布やスマートフォンを抜き取る「プロ」です。観光客の動線、混雑のタイミング、荷物の持ち方、ターゲットの気の緩み、共犯者との動きの連携がハマるパターン──こうした要素を観察し、最も成功率の高い瞬間を狙ってきます。

大使館が注意喚起を出すのは、被害報告が一定数を超えたときだけです。今回の発出は、ポルトガルを「安全な国」と思い込んでいる日本人に対し、改めて基本的な安全対策を見直す必要があることを示しています。

 

海外安全メールマガジン登録

日本人の犯罪被害者数は毎日5人以上

実は、日本人が犯罪被害に遭っているのはポルトガルだけではありません。日本国内のニュースではほとんど報じられませんが、2025年の一年間に世界各地で犯罪被害に遭った日本人は約1,700人に上ります。これは2026年5月13日に外務省が公表した「邦人援護統計」に明確に示されています。この「邦人援護統計」は日本政府外務省が毎年ホームページで公表されるもの。一般の方はあまりご覧になっていないと思いますが大変示唆に富む内容になっています。

例えば、昨年2025年の犯罪被害者は殺人や傷害・暴行といった日本人の身体に直接影響が及ぶ凶悪犯罪被害者が426人、そして窃盗被害が1517人。単純計算すると、1日あたり5〜6人が海外で犯罪被害に遭っていることになります。しかし、多くの日本人はこの事実を知りません。死亡事故や大規模事件でない限り、皆さんが普段目にする新聞やテレビ、あるいはネットニュースで取り上げられることがほとんどないためです。つまり、私たちが知らないだけで、日本人は毎日のように世界のどこかで被害に遭っているということです。

さらに、この統計はあくまで在外公館(大使館・総領事館)が把握できた件数にすぎません。被害に遭っても届け出ていないケースは相当数あると考えられ、実際の被害者数はさらに多い可能性があります。

 

japanese-trouble-stats2025
2026年5月13日に公表された2025年一年間の海外における日本人のトラブル統計

 

日本人が被害に遭う犯罪の多くは、

  • スリ
  • 置き引き
  • ひったくり

といった「一般犯罪」です。 つまり、テロや誘拐のように事前に綿密な計画が必要な犯罪ではなく、その場で標的を定め、その場で実行される日常的な犯罪(opportunistic crime) が圧倒的に多いのです。

そしてこうした犯罪は、油断と無知がある人から順番に被害に遭うという特徴があります。犯人側の視点に立てば、周囲を警戒している人よりも、無防備にスマートフォンや財布を放り出している人の方が狙いやすいのは当然です。

 

crime-rate-2025

 

海外安全セミナー

一般犯罪は油断のある人がその場で狙われる!

スリや置き引きは、被害者の行動によって被害率が大きく変わります。 次のような行動は、犯人から見れば獲物が自ら近づいてくる瞬間に等しいと言えます。

  • リュックを背負ったまま写真撮影をする
  • カフェでスマホを机に置いたまま席を離れる
  • 地図アプリを見ながら立ち止まる
  • 空港で荷物を足元に置いて目を離す
  • ホテルの朝食会場でバッグを椅子に掛ける
cafe-pc-unattended
日本の喫茶店の一シーン。PCやスマホ、鞄を置いてトイレや注文に行くのは海外で絶対NG

これらはすべて、スリにとって絶好のチャンスです。 彼らは暴力を使わず、大きな音も立てることなく静かに獲物を奪っていきます。だからこそ、被害者が気づくのは数分後、あるいは数時間後です。日本では「犯罪者が悪い」と言えば話は終わります。 しかし、世界の多くの国ではそうはなりません。 「油断した方が悪い」「注意しなかったあなたの責任だ」 と平然と言われる社会が、海外には普通に存在します。

弱肉強食という言葉は大げさに聞こえるかもしれませんが、 スリや置き引きを狙う犯罪者は狙いやすい人、簡単に奪えるものから順番に狙います。 そこには道徳も情けもありません。「隙を見せた人間が被害に遭う」という厳然たる事実が一般犯罪の世界です。この現実を受け入れない限り、海外での安全対策は始まりません。

 

海外安全メールマガジン登録

古典的犯罪手口を無料映像で見て被害に遭う可能性を下げよう!

文章で読むより、実際の映像を見る方が理解は早いものです。 最近では、YouTubeや各国警察が公開しているスリの啓発映像や実際の犯行現場の様子などが無料で視聴できます。日本で実際に被害に遭うシチュエーションは極めて稀ですので、こうした参考映像は海外に渡航する前に視聴すると犯罪被害予防の教科書として最適です。

  • どんなシチュエーションで犯罪が行われるのか
  • 被害に遭いやすい自分の行動はどういうものか
  • スーツケースや鞄が盗まれやすい置き場所、持ち方
  • 協力者と犯人がどんな動きをするのか
  • 具体的にどのような「注意」を行えばいいのか

これらを知るだけで、皆さんの注意力は上がり、犯罪被害に遭う可能性は劇的に下がります。

 

例えば弊社ではスペイン東部のカタルーニャ州警察が公開している犯罪被害啓発動画の利用許諾を得ています。以下のコラムでご紹介していますが、スリやひったくりの具体的手口やその予防方法を映像で見ておくことをおススメしています。

【参考コラム】犯罪被害者にならないために手口を映像で学ぼう

カタルーニャ州警察(スペイン)が公開しているスリ被害事例の動画。自分が確認しにくい背中側はスリの標的になりやすい

 

今回のポルトガルの事例は、コロナ禍を経て日本人の海外旅行が回復していく中で、安全対策の基本が忘れられているという警鐘でもあります。

スリ被害は、

  • 運が悪かった
  • たまたま狙われた

のではありません。あなたの油断と無知が呼び込んだ犯罪だった可能性も否定はできないのです。知識を持ち、行動を変えれば、あなたは必ず守れます。 少なくともこうした映像をご覧いただき、他の「標的候補」よりも高い警戒レベルを保ち、ご自身の身の回りの貴重品をしっかりと管理できていれば相対的に狙われる可能性は下がります。ご自身の安全はもちろん、所持品の無事、そして予定通りの海外滞在を楽しめるかどうか。海外での安全は、最終的にはご自身の行動でしか守れません。渡航先の犯罪事情を知り、日本とは注意力のレベルを少し変えることで、ぜひ旅を楽しんでいただければと思います。

この項終わり