トルコ治安最新情報(2024年2月)/海外安全.jp


0.トルコにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在トルコ日本国大使館      :+90-(0)312-446-0500

◎在イスタンブール日本国総領事館 :+90-(0)212-317-4600

◎警察  :155

◎交通警察:154

◎救急  :112

◎消防  :110

◎沿岸警備:158
(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

トルコに対しては日本、イギリス、オーストラリアの三か国がほぼ共通の危険度を設定しています。シリア及びイラク国境は武装勢力によるテロや誘拐の危険性が高いため、立ち入りを避けるよう強く呼びかけています。その近接地区であるトルコ東部には渡航の必要性を十分に検討するよう呼びかけています。それ以外の地域については、いずれの政府もテロや一般犯罪への注意喚起が詳細に記載されているものの、渡航を止めるほどの脅威レベルではない、と評価されています。

他方で、アメリカ政府はトルコ政府から不穏分子と目されたアメリカ人が当局に拘束されていることなどを踏まえ、アメリカ人に対し、トルコ全土への渡航必要性を再検討するよう他の三か国よりも一段強いトーンでトルコへのトラベルアドバイスを設定しています。

大きなテロは2017年1月以降発生しておらず、また2016年に発生したクーデター未遂の余波も落ち着いてきています。しかしながらどの政府も取る国内でテロが発生する可能性があると評価しており、特に欧米人が多く集まる場所や観光名所では十分に注意するよう明記されています。

その他、一般犯罪についても日本政府外務省はトルコの犯罪発生率が日本の三倍以上と想定されること、実際に日本人の犯罪被害が多く発生していることなどを踏まえ、強く注意喚起を行っています。

【海外安全.jpのコメント】

トルコへの観光は不可能ではありませんが、一般的に思われている以上に警戒が必要であると言えます。日本・イギリス・オーストラリアの三か国はトルコに対する治安情勢の評価がほぼ共通していますが、日本政府外務省が発表している地図ではイスタンブール周辺以外の主要観光地が白くなっており、「レベル1:十分注意してください」すら設定されていません。

他方で、「安全の手引き」等個別の文書ではテロ、誘拐、性犯罪、一般犯罪等への注意が必要である旨が説明されています。日本政府外務省の地図上の危険情報が白いからと言って油断せず、各国が発している注意喚起を一読し、理解した上で出発されることをおススメします。

 

なお、新型コロナウイルス感染症拡大前からアメリカ政府のみ、他の3か国と比較して高い警戒レベルが設定されています。これは純粋な現地治安情勢を評価して設定されているわけではなく、政治的な背景も絡んでアメリカ人がトルコ当局に拘束されていることも影響していると考えられます。

2021年後半からはトルコ国内の消費者物価指数が急激に上がっており、庶民の食費負担、燃料費負担が非常に重くなっているとの情報があります。一般論として生活が苦しい国民が増えれば犯罪の発生件数の増加や政府への批判が高まりやすくなるため、当面経済状況も踏まえた治安情勢に十分注意が必要です。

2.日本政府の危険情報

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日本政府外務省は2018年11月に一部地域の危険情報を引き下げています。最新の危険情報設定は以下の通りです。

「レベル4:退避してください。渡航は止めてください」が設定されている地域

シリアとの国境地帯、イラクとの国境地帯の一部

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

ディヤルバクル県及びイラクとの国境地帯(レベル4の地域を除く)

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

ハッカーリ県、シュルナク県、ハタイ県、キリス県、ガジアンテップ県、シャンルウルファ県、マルディン県(シリア及びイラクとの国境地帯を除く)

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

イスタンブール県

東部11県(トゥンジェリ、エラズー、ビンギョル、ムシュ、ビトリス、ヴァン、ウードゥル、カルス、アール、エルズルム、エルジンジャン)及び南東部3県(バトマン、シールト、アドゥヤマン)

危険情報が設定されていない地域

上記を除く全土

 

2017年1月以降大きなテロが国内で発生しておらず、日本人が巻き込まれた事例も直近発生していないことが説明されています。しかしながら治安当局がテロ対策作戦を連日実施していることを踏まえ、油断することなく慎重な行動を心がけるようアドバイスされています。

一般犯罪の発生件数は警察統計が発表されていないことから、推測ではありますが、日本の約3倍一般犯罪が発生しているとされています。日本人の被害事例も多数HPや「安全の手引き」に掲載されており、注意喚起がなされています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ一時全土に「渡航を中止してください: Do not travel」のリスクレベルが設定されていましたが、2022年4月19日付で感染症を理由にしたリスク評価は解除されています。
現在のトラベルアドバイザリーは以下のとおりであり、新型コロナウイルス感染症パンデミック拡大前に比べ国土の大半でレベルが引き下げられました。


シリア国境から約10キロ(6マイル)の範囲及びイラク国境付近のシュルナク県、ハッカーリ県


上記地域を除く全土

武装勢力によるテロや誘拐の危険性を踏まえ、シリアとイラク国境には最高レベルの注意喚起が設定されています。それ以外の地域では首都アンカラ及びイスタンブールを含め「十分警戒してください:Exercise increased caution」に設定されています。テロの危険性が排除できないことに加え、当局が反政府的、治安を乱すとみなした人間をアメリカ人を含め多数拘束していることを背景に他国以上にレベル設定が高めに設定されています。

旅行する場合には

 欧米人が多い場所を避ける、

 デモ/集会等に近寄らない、

 セキュリティが強固なホテルに滞在する、

 現地ニュース等に常時注意する

といった注意事項を守るようアドバイスされています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、一時ほぼ全土に「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されていましたが、現時点では感染症拡大前のリスクレベルに戻されています。

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シリア国境から10キロ以内に対し、最高の危険レベルである「渡航を推奨しません:Advise against all travel」が設定されています。

その他、「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」がハッカーリ県及びシルナーク市に設定されています。

それ以外の地域は「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」とされていますが、テロが発生する可能性は概して高いとされています。また、一般犯罪も多いことから周囲の様子に常に注意するようアドバイスされています。

また、イギリスでは「テロ組織」として認知されていないクルド人グループや宗教指導者ギュレン氏への協力がトルコ政府によって違法なテロ組織の支援とみなされることがある旨明記されています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で国土の主要部分は「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にリスクレベルが引き下げられました。

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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

最も警戒レベルの高い「渡航を取りやめてください:Do not travel」がシリア国境から10キロ以内に設定されています。これら地域では武力衝突が発生した場合に巻き込まれる可能性が指摘されています。

次に警戒レベルの高い「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」はハッカーリ県、シュルナーク県に設定されています。両県では治安情勢が予測不可能であり、事態が急変する恐れを考慮して多くの地域よりも一段レベルの高い警戒を発しています。

 

それ以外の地域は首都アンカラや大都市イスタンブールを含め、5段階中3番目の「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」に設定されています。ただし、トルコ国内で最もレベルの低いこれら地域でもテロの危険性が排除されないと明確に記載されています。トルコではテロリストグループがトルコへの攻撃を呼び掛けており、特に観光地や欧米関係施設に注意が必要であるとされています。

6.最近の治安ニュース

トルコ北西部P&G工場での人質事案(2024年2月1日)

トルコ大都市イスタンブール市内教会での銃撃事案(2024年1月28日)

トルコイスタンブール商業地区での爆発事案(2022年11月13日)

トルコイスタンブールレストランでの発砲騒動(2022年10月8日)

トルコイスタンブール市街地での発砲事案(2022年9月11日)

トルコ通貨暴落/経済苦境に対する反政府デモ(2021年11月下旬)

トルコ南部アダナ市内での爆発(2019年9月25日)

 

2020年1月3日にアメリカ軍はイラン軍幹部をイラク国内バグダッドでのドローン攻撃によって殺害しました。8日にはイラン軍がイラクにあるアメリカ軍拠点二か所に対し弾道ミサイルを撃ち込む報復攻撃を実施しました。中東を中心として情勢は不安定になっており、各国政府も自国民に対し、身の安全を守るため警戒を高めるよう呼びかけています。

2019年8月トルコはシリア国境に近い東部でトルコが「テロ組織」とみなしているYPGへの攻撃を開始する旨発表しました

2017年1月1日、イスタンブールのナイトクラブで新年を祝う人たちを標的とした襲撃事件が発生しました。この事件で外国人を含む39名が死亡しています。犯人はウズベキスタン出身でISの戦闘員とされる人物でした。

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