コンゴ民主共和国治安最新情報(2024年3月)/海外安全.jp


0コンゴ民主共和国における日本人向けの緊急連絡先

◎在コンゴ民主共和国日本国大使館  :+243-(0)81-555-4731

◎同大使館緊急連絡用電話      :+243-(0)81-880-5059

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察  :112

◎消防  :099-936-9936(火災出動部隊)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

コンゴ民主共和国に対しては各国とも全土に極めて高い警戒レベルが設定されています。特に東部諸州および南部カサイ州、中央カサイ州、東カサイ州周辺と中央アフリカ、南スーダンとの国境付近への警戒度が高くなっています。
 
各国政府によって若干範囲が異なるものの、こうした地域では伝統的な地元部族の民兵と治安当局がしばしば衝突しているとされており、不用意に立ち入り巻き添え被害に遭うことがあるためいずれの政府も立ち入りは推奨していません。
 
他方で、これら以外の地域も安全であるとは評価されておらず、ギャング集団を含む犯罪者が路上での強盗や住居・事務所などへの侵入盗に及んでいることを各国政府とも記載しています。犯罪には十分注意し、移動手段や宿泊場所を選定するよう助言が記載されています。
 
なお、立ち入りが推奨されていない地域ではありますが、北キブ州とイツリ州でしばしば致死性の高いエボラ出血熱の流行が観察されています。

【海外安全.jpのコメント】

コンゴ民主共和国は各国とも多少範囲に違いはありますが東部および南部を中心に立ち入りを推奨しない地域が広めに設定されています。旅行や出張を計画する際には、自分が立ち入るエリアが日・米・英・豪各国にとってどのように評価されているかを必ず確認することをおススメします。 首都キンシャサをはじめ、立ち入りが推奨しない地域以外でも犯罪が凶悪かつ多発していること、政治的な不安定さ(特に2018年大統領選挙前後)から大規模なデモや政治活動に巻き込まれること、が特に懸念されています。日々治安情勢は変化しており、コンゴ民主共和国への渡航前に最新の情報を確認することが、安全確保の第一歩です。 

 

なお、東部を中心にエボラ出血熱の流行が確認された期間があります。2021年6月の時点ではエボラ出血熱の流行は収束したと宣言されていますが、引き続き注意が必要です。

2.日本政府の危険情報

「レベル4:退避してください」が設定されている地域

カサイ州、中央カサイ州、東カサイ州、バ=ズエレ州の中央アフリカ国境地帯、オー=ウエレ州,イトゥリ州,北キブ州及び南キブ州

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

北ウバンギ州の中央アフリカ国境地帯及び南ウバンギ州の中央アフリカ国境地帯

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

上記を除く全域 

 

最も警戒レベルの高い「レベル4:退避してください」が設定されている地域では地元武装勢力、民兵組織と政府治安当局の衝突が断続的に続いていることが記載されています。中央アフリカとの国境地域では隣国中央アフリカの治安悪化に伴い、同国から難民が5万人以上流入しているほか、旧中央アフリカ政府軍兵士を含む戦闘員等が越境・潜入している危険性も指摘されています。

 

上記地域に比較すると危険情報のレベルが低いですが、首都キンシャサを中心に全土でストリートチルドレンや不良青年団などによる暴力行為、犯罪行為が発生していることが記載されています。テロや武力衝突ではありませんが、日本とはこうした犯罪の手段や発生頻度がかなり異なります。

日本政府外務省からは

・日中でも徒歩による単独での移動を避け、できる限り車両を利用する

・車両のドアは必ずロックし、窓は開けない

・デモ等群衆が集まっている場所には近寄らない

・深夜の外出は、車両を利用する場合であっても極力避ける

・強盗に遭遇した場合には、生命に危険が及ばないよう抵抗しない

といった注意事項が明記されています。 

加えて政治的に不安定な状況が継続しており、デモ等に伴う死傷者が発生していることも明記されています。 なお、現在北東部北キブ州やイツリ州で致死性の高いエボラ出血熱の感染が発生しています。両州とも「レベル4:退避してください」が設定されている地域であること、また国内全域に感染が広がっている状況ではありませんが、注意が呼びかけられています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

コロナウイルス感染症の影響を受ける前と同じ治安に基づくリスクレベルが設定されています。感染症の影響は現時点でトラベルアドバイザリーに影響していません。

国内東部およびカサイ3州 (武力紛争に巻き込まれる恐れがあるため)

上記を除く全土(市民騒擾および凶悪な犯罪が多発しているため)

 

アメリカ政府はコンゴ民主共和国全土に対し、治安情勢は楽観視できないと評価しています。地元民兵等による武力紛争に巻き込まれないよう東部地域とカサイ三州には「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されており、立ち入りは推奨されていません。

これら以外の地域全域でも市民による大規模デモが暴徒化したり、強盗や住居への武装犯の侵入、強姦等凶悪な犯罪が多く発生していることが注意喚起されています。このため、国内の大部分に対して「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。より具体的な注意事項として犯罪実行者の一部は警官や治安当局を装うこともあることや、現地治安当局は必ずしも凶悪犯罪に適切に対応できない可能性があることも明記されています。 

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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イギリス政府は以下の地域に対し、警戒レベルの最も高い「渡航を推奨しません:Advise against all travel」を設定しています。

・カサイ・オリエンタル州、オーウエレ州、オーロマミ州、イツリ州、北キブ州(ゴマ市を除く)、南キブ州(ブカブ市を除く)、マニエマ州、タンガニーカ州

・カナンガ周辺地域

・マイ=ンドンベ州南西部

・中央アフリカ及び南スーダンとの国境から50キロの地域

 

三段階の上から二番目となる「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されている地域は以下の通りです。

・首都キンシャサの南側ンジリ空港周辺

・キンシャサ北方クァムート地域

・南キブ州ブカブ市

・北キブ州ゴマ市

・カサイ州、カサイ中央州 

・マイ=ンドンベ州南部国道一号線から南側へ10キロ

それ以外の地域は「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」とされています。

 

特にコンゴ民主共和国東部では地元武装勢力の活動が続いており、治安情勢が流動的であること、またイギリス政府、現地大使館も十分な支援を行えない可能性が高いことから一部地域への立ち入りは推奨されていません。

 

なお、渡航を推奨しない地域でも以前から路上犯罪、強盗が多く発生していることが明記されており、タクシーは事前予約されたもの以外乗らないようアドバイスされています。また金やダイヤを値引きするといったギャングの誘いには絶対に乗らないよう注意されています。過去、キンシャサやゴマに拠点を置く国際的なNGOの事務所も犯罪の標的となったことが明記されています。 

2022年5月現在同国西部赤道州ムバンダカ周辺で複数の感染が報告されているエボラ出血熱への注意喚起も記載されています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で国土の主要部分は「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」にリスクレベルが引き下げられました。
 
現時点で新型コロナウイルス感染症拡大前の治安情報と同じ状態に戻っています。
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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

最もレベルの高い「渡航を取りやめてください:Do not travel」はカサイ州、中央カサイ州、東カサイ州、南キブ州、北キブ州、イツリ州、マイネマ州、タンガニーカ州、バ・ズエレ州、オ・ウエレ州に設定されています。これら地域では地元武装勢力による暴力、治安当局との衝突が懸念されており立ち入りが推奨されていません。

 

また、その他全域でも犯罪発生率の高さ、犯罪の凶悪性を背景に、政治的また治安的に不安定であると指摘されています。残る全域も5段階中上から2番目となる「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されています。 なお、同国東部で流行中のエボラ出血熱への注意喚起も記載されています。

6.最近の治安ニュース

コンゴ民主共和国東部空港へのドローン攻撃(2024年2月17日)

コンゴ民主共和国での反国連デモ(2023年8月30日)

ウガンダ西部武装勢力によるテロ予告文書の発見(2023年7月)

コンゴ民主共和国東部教会での爆発事案(2023年1月15日)

コンゴ民主共和国西部 民族間の衝突激化(2022年7月)

コンゴ民主共和国東部で反国連抗議(2022年7月26日)

コンゴ民主共和国東部で反ルワンダデモ(2022年6月15日)

コンゴ民主共和国での反ルワンダ抗議デモ(2022年5月31日)

コンゴ民主共和国北東部避難民キャンプ襲撃(2022年2月1日)

コンゴ民主共和国東部都市での自爆テロ(2021年12月25日)

コンゴ民主共和国ラマダン終了後の宗教的衝突(2021年5月13日)

コンゴ民主共和国イタリア大使襲撃事案(2021年2月22日)

ISISコンゴ民主共和国内で初の襲撃犯行声明(2019年4月18日)

2019年4月18日ウガンダとの国境に近いカマンゴでコンゴ民主共和国軍に対する襲撃が発生しました。本件に対し、ISISが犯行声明を発表しています。4月19日の時点で信ぴょう性は不明ですがもしこの犯行声明が事実であれば、コンゴ民主共和国内で初めてISISによる襲撃が行われたことになります。

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