ベナン治安最新情報(2024年4月)/海外安全.jp


0.ベナンにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在ベナン日本国大使館   :+229-(0)21-30-5986

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察 :166

◎消防/救急 :118

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

ベナンに対しては、四か国ともほぼ同じリスク評価を行っていると言えます。
特に北部ニジェールとの国境付近(W国立公園付近)に対しては、いずれの国もできる限り立ち入りを避けるよう呼びかけています。加えて、日本とイギリスは北東部ナイジェリアとの国境付近も国内他地域よりも少しレベルの高い注意喚起を設定しています。
一般犯罪の発生率は日本と比べれば高く、英語圏各国もトラベルアドバイス上明確に犯罪に対する注意が必要である旨記載しています。日本政府外務省も銃器を用いた犯罪に日本人が巻き込まれている実態を踏まえ、具体的な被害事例を多く掲載しながら注意喚起を行っています。

【海外安全.jpのコメント】

各国政府とも、ベナンに対しては、一定の警戒の上、渡航するようおススメします。特に各国ともリスクレベルが高い北部ニジェールとの国境付近やイギリスが強く警戒している北東部ナイジェリアとの国境付近は現地に土地勘があり、地元の方との人脈がある方以外の立ち入りは避けた方が無難です。

最近では東側ナイジェリアはもとより、ブルキナファソやニジェールといった仏語圏の隣国で武装集団の勢力が拡大傾向にあります。首都や大都市コトヌを離れ北側に旅行する際は最新の情勢を把握し、万が一に備えた上で立ち入るようおススメします。

 

なお、一般犯罪の発生件数は日本に比べて非常に多く、銃を用いた強盗もよく発生しています。日本人のみならず他国の外国人被害も多いですので、外出時には華美な格好を控え、高価だと思われる時計や装飾品などは身に着けないことをおススメします。万が一強盗被害に遭った場合には無用な抵抗をせず、金品を渡してしまうことが命を守るための工夫です。

2.日本政府の危険情報

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「渡航の必要性を再検討してください」が設定されている地域

北部(ブルキナファソ及びニジェールとの国境地帯(パンジャリ国立公園、W国立公園、パンジャリ狩猟区域及びアタコラ狩猟区域))、北東部(ニジェール及びナイジェリアとの国境地帯(アリボリ県バニコアラ地区、カリママ地区、カンディ地区、マランヴィル地区、セグバナ地区の国境地帯及びボルグ県カラレ地区東部))及び北西部(ブルキナファソ及びトーゴとの国境地帯(アタコラ県タンゲタ地区、マテリ地区、ケル地区の国境地帯))

北東部(アリボリ県バニコアラ地区、カリママ地区、カンディ地区、マランヴィル地区、セグバナ地区の国境地帯を除く地域)、北西部(アタコラ県タンゲタ地区、マテリ地区、ケル地区の国境地帯を除く地域)及び北東部(ナイジェリアとの国境地帯(ボルグ県ニッキ地区東部))

 

「不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

北東部(ナイジェリアとの国境地帯(ボルグ県カラレ地区西部、ニッキ地区西部、ペレレ地区、チャウル地区東部)及び北西部(トーゴとの国境地帯(アタコラ県コブリ地区))

北部(アリボリ県ゴグヌ地区)

「十分注意してください」が設定されている地域

上記を除く全土

 

ブルキナファソ、ニジェール、ナイジェリアといった隣国で頻発している武装勢力による大規模な襲撃などはまだベナン国内で観察されていません。しかしながら、これまでにも周辺国から越境してきたと思われる武装勢力による外国人誘拐などの事例は発生していることから、北部から北東部にかけて注意喚起のレベルを高めている旨記載があります。2022年7月には北部及び北東部でリスクレベルを高く設定している地域が拡大されました。

 

それ以外の地域では、大規模なテロや襲撃、誘拐等の派手な事案こそ発生していないものの、一般犯罪が多発していること、犯人側、治安当局側双方による銃器の使用もしばしば発生することも踏まえ、「レベル1:十分注意してください」と設定されています。

 

日本人に被害が多く発生しているためか、日本人が被害に遭った犯罪手口や被害発生場所が詳しく記載されています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

新型コロナウイルス感染症への警戒に伴うリスクレベルの引き上げは解除されています。しかしながら、現在全土が「十分警戒してください:Exercise increased caution」以上に指定されており、パンデミック前よりも全土で一~二段階高いレベル設定がなされていること、すなわち2019年以前と比して治安リスクが高まっていると判断されています。
現時点での治安レベルは以下の通りです。
北部ブルキナファソやニジェールとの国境付近、W国立公園についてはテロや誘拐のリスクが高いとして最も警戒度合いの高い「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。具体的には以下の地域が対象です。
  • The cities of Kandi and Tanguieta
  • North from Kandi and Tanguieta to the Niger / Burkina Faso border
  • Pendjari and W National Parks, Zones Cynegetique De La Pendjari, De Latakora, and De Djona, and the adjacent hunting zones
  • RNIE 7 between Banikora and Segbana
  • RN10 between Nikki and Segbana

上記を除く全土

アメリカ国務省のトラベルアドバイザリーシステム上、色分けはレベル2の黄色が表示されますが、実際にはレベル4の地域も広いですのでご注意ください。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

ブルキナファソ、ニジェールとの国境を越えてテロリストによる襲撃が懸念される北部W国立公園及びフランス人2名が誘拐されたペンジャリ国立公園全域に対し、「渡航を推奨しません:Advise against all travel」を設定し、イギリス人に対し、渡航を避けるよう呼びかけています。

また、東部ナイジェリアとの国境のうち、国道2号のマランヴィル~チャーウールー間よりも東側のエリアに対して、他地域よりも犯罪が深刻であるとの理由から「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。

それ以外の地域は首都ポルトノヴォや大都市コトヌを含め最もレベルの低い「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」が設定されています。しかしながら、こうした地域でも一般犯罪が多いことから、特に夜間や人気のない場所では一人での外出を避け、常に高いレベルで警戒するよう記載があります。加えてビーチでは日中も含めて一人歩きを避けるようアドバイスがなされています。(イギリス政府がここまで強く犯罪への警戒を記載する事例は多くありません)

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で国土の主要部分は「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にリスクレベルが引き下げられました。

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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

北部ブルキナファソ、ナイジェリア及びニジェールと国境を接するW国立公園及び、2019年5月にフランス人の誘拐事件が発生したペンジャリ国立公園は最も警戒レベルの高い、「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。この地区ではテロや外国人誘拐の危険性があると明記されており、明確に立ち入らないよう注意喚起されています。

また、東部ボルグー県以南のナイジェリア国境には「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されています。

それ以外の地域は全て警戒レベルとしては5段階中真ん中の「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」とされています。しかしながら犯罪が多発していることを踏まえ、夜間や人気のない場所では一人で歩かないこと、常に身の回りのものに注意すること、現地のニュース等をチェックすることなどが助言されています。

6.最近の治安ニュース

ベナン北部テロ警戒のための夜間外出禁止令(2023年3月7日)

ベナン北西部国立公園での爆発事案(2022年4月11日)

ベナン武装勢力による軍への攻撃(2021年12月1日)

ベナン沖合での海賊による外国人誘拐事案(2021年5月31日)

 

2019年5月1日ベナン国内北部、ブルキナファソとの国境付近にあるパンジアーリ国立公園でフランス人観光客2名と現地人ガイド1名が行方不明になりました。現地人ガイドは遺体で発見され、フランス人2名は隣国ブルキナファソで行われたフランス軍による救出作戦の結果、救出されています。

ベナン/ブルキナファソ国境でのフランス人誘拐

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