香港治安最新情報(2024年3月)/海外安全.jp


0.香港における日本人向けの緊急連絡先

◎在香港日本国総領事館  :+852-(0)2522-1184

(夜間・祝祭日の緊急時には852-2522-1184に電話の上案内が流れ始めたら「9」を押して応答を待ってください)

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察・救急・消防 :999(共通)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

香港に対しては、2019年半ばまで各国政府とも安全度が高いと評価してきました。2019年8月に民主化を求めるデモが連日発生し、治安当局と衝突を繰り返すまでは英語圏各国のトラベルアドバイス上は強い注意喚起がありませんでした。日本政府外務省も犯罪への注意喚起こそありますしたが、他国に対する注意喚起に比してトーンは抑えめだった経緯があります。
他方で、2023年に入り、米国は米中対立を背景としているとみられる米国人への恣意的逮捕・取り調べへの警戒から実際の治安リスクに比してかなり高い注意喚起が適用されています。
米国以外の参加国は政治情勢も落ち着いていることを踏まえリスクレベルはそれほど高くありません。

【海外安全.jpのコメント】

デモ発生前までは、各国政府とも、香港へ渡航する国民への注意喚起は最小限でした。一般論として、油断は禁物ですが、日本とそれほど変わらない平穏な国であり、過去に大規模なテロも発生していません。小規模かつ単発の爆発物事案や車両を用いた暴走といったテロ行為を完全に排除することはできませんが、大規模なテロの標的としてあえて香港を狙う理由は見当たりません。

一時期頻発していたデモについて、現時点で大規模な開催は行われていません。今後もデモが発生した場合でもデモ隊や治安当局に接近さえしなければ最低限の注意で安全に過ごせる国と言えます。

オーストラリア政府のアドバイスにあるように「常識的な行動をとる」ことができれば不必要なトラブルは回避できます。

2.日本政府の危険情報


全土に対し、「レベル1:十分注意してください」が設定されています。(2019年8月以前、民主化要求デモ以前はレベル設定のない白色でした)「抗議活動等に関する情勢は基本的に落ち着きを取り戻しています」との記載がありますが、突発的な集会や、警官襲撃事案の発生などを踏まえレベル設定は引き下げられていません。

他方、デモ以外にも一般犯罪には注意するよう明記されています。特にフェリーターミナルやビクトリアピーク等観光地でのパスポート盗難被害事例が多いことが明記されています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた医療面でのリスクレベル設定は解除されています。
他方で、治安リスク以上に米中対立を背景としてアメリカ国籍者に対する恣意的な逮捕や取り調べなどの可能性があるとして、現在香港全土には「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

特段の注意喚起はありません。

一般論として現地で気を付けるべき項目は自然災害(台風)、テロ、一般犯罪(スリ等)等が挙げられており、注意喚起されています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にリスクレベルが引き下げられました。

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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

2019年8月6日付で、オーストラリア政府は香港に対し、5段階中真ん中の「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」を設定しました。それまでは全土が下から二番目の「一般的な注意を払ってください:Exercise normal safety precautions」となっており、特段の注意喚起はありませんでした。

2019年6月中旬以降開始されて市民デモの広がりや、デモ隊と治安当局の衝突が頻繁に発生したことを踏まえ、警戒レベルを引き上げています。香港に滞在する際は現地メディア情報に常に注意を払い、デモ実施地点や群衆に近寄らないようアドバイスが明記されています。

新型コロナウイルス感染症の関係で全世界一斉に引き上げられたリスクレベルが引き下げられた後も、上記のようなデモへのリスクがくすぶっているとして2019年8月以前のリスクレベル設定には戻っていませんのでご注意下さい。

6.最近の治安ニュース

2020年に入っても、香港市内中心部で民主化を求めるデモ隊と治安当局の衝突は断続的に発生しています。治安当局側は衝突の際催涙弾等の使用をためらっていませんので、デモ隊や治安当局の集結地点には絶対に近寄らないようおススメします。

香港反政府デモ強行(2020年9月)

 

2019年10月13日、香港市内ネイサンロード付近で警察車両を標的としたと思われる自家製爆弾が爆発した旨、警察当局が発表しました。

2019年8月25日香港市内で行われていたデモ隊が一部レンガや瓶を投げるなどした際、警官一名が威嚇を目的として実弾を上空に発射したとのこと

2019年8月9日香港国際空港内で民主化を訴えるグループが空港ロビーで座り込みデモを行っています。空港内の警備体制が強化されており、普段よりも搭乗手続きに時間を要する状況です

2019年7月21日現地深夜香港の中心部元朗駅で、マスクを被り棒を持った集団が周囲の市民を襲撃しました。この事案により45名が負傷しています。

2019年7月1日香港がイギリスから中国に返還された記念日に合わせて行われた反政府活動の一部参加者が国会議事堂に相当する行政府建物に突入。一時議会を占拠しました。治安部隊が催涙弾等を用いて居座っていたデモ隊らを排除しています。

2019年6月9日香港中心部で、中国当局による支配が強まる恐れのある「逃亡犯罪人条例」に反対する大規模な市民でもが発生しました。主催者発表でデモ参加者は103万人、現地警察発表では24万人規模のデモだったとされています。

長時間にわたるデモはおおむね平和裏に終わりましたが、一部デモ参加者と治安当局が衝突する様子が報じられています。

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