サウジアラビア治安最新情報(2024年4月)/海外安全.jp


0.サウジアラビアにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在サウジアラビア日本国大使館 :+966-(0)11-488-1100

◎在ジッダ日本国総領事館    :+966-(0)12-667-0676

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察  :999

◎救急  :997

◎消防  :998

◎交通事故:993

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

サウジアラビアに対してアメリカ政府を除く3カ国の政府はほぼ共通の危険度が設定されています。イエメン国境の武力衝突リスクへの警戒が極めて高く、全ての政府がイエメン国境付近への接近を控えるよう強く推奨しています。
また、首都リヤドを含め、人が多い地域、都市へのイエメン領内からのミサイル攻撃がしばしば発生しています。ミサイル防衛システムによりこれまで甚大な被害は避けられてきていますが、今後もミサイルによる攻撃が継続する恐れがあり、注意喚起されています。

後者のリスクを米国政府は極めて重くとらえているとみられ、首都リヤドを含む国土の主要部分にも渡航しないよう米国人に呼び掛けています。日・英・豪の3カ国はそこまで強い注意喚起を行っていません。

強盗や一般犯罪に対する注意喚起はそれほど強いトーンではありません。

【海外安全.jpのコメント】

日本では大きく報道されていませんが、サウジアラビアに対してイエメン領内から発射されたミサイルが継続的にサウジアラビア各地に発射されています。サウジアラビアのミサイル迎撃システムによりミサイルそのものの着弾はこれまで発生していませんが、サウジアラビア全土で今後もミサイルの被害には十分注意が必要です。

国境を越えた武力紛争があるイエメン国境やイラク国内からの武装勢力流入も否定できないイラク国境への接近はオススメできません。

 

サウジアラビアの文化、風習上、成人男女の接触機会は極めて限定的です。女性が外出することそのもの、まして家族以外の男性に肌や髪を見せるといった行為は好ましくないとされています。女性が日本と同様にふるまうことは、現地文化に全くそぐわない上性犯罪等を誘発する恐れもあります。

2.日本政府の危険情報

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

ジャーザーン州、アシール州、ナジュラーン州、東部州のイエメンとの国境地帯

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

イラクとの国境地帯

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

上記地域を除く全土

 

サウジアラビアには現在隣国イエメンを拠点とする反政府武装勢力(フーシ派もしくはホーシー派)からのミサイルがたびたび飛来していることが記載されています。首都リヤドの国際空港も標的となったことが明記されており、全土で注意が必要な状態である点繰り返し記載されています。

また、違法銃器が流通しているとの記載があり、万が一強盗被害に遭った場合には安全を最優先し、奪われた金品を取り返そうとしないよう注意喚起があります。

 

イエメンとの国境地帯は武装勢力との軍事衝突の恐れもあり、より頻繁にミサイルが飛来していますので、警戒レベルが高く設定されています。

イラクとの国境地帯はイラクの治安情勢が不安定であること、また国境管理が必ずしも万全とは言えないことから他地域よりもレベルが高く設定されています。

 

サウジアラビア国内では治安当局の権限が強いことから一般犯罪等の発生は抑えられています。ただし、空港での置き引きや車上荒らしといった犯罪被害はしばしば発生しているため、注意喚起がなされています。文化的な背景からモールやショッピングセンター等において外国人女性が身体を触られる等の被害を受ける事案も発生している点記載があります。女性が外出する際には、現地の習慣を踏まえ、髪の毛や肌の露出を極力控えた目立たない格好をするようアドバイスされています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

他国に比して全土高めのリスクレベルが設定されています。

イエメンとの国境線から50キロ以内、南部アブハ空港、東部カティフ地区には最も高いレベルの注意喚起である「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。それ以外の地域でもドローン攻撃によるリスクが高いとして、米国政府は自国民に対しサウジアラビアへの渡航を再検討するよう呼び掛けています。


イエメンとの国境から50キロ圏内

南部アブハ空港

東部カティフ地区

イエメンを拠点とする武装勢力との衝突やテロの危険性を鑑み、国境から50キロ圏内や過去繰り返しドローン攻撃の被害が発生しているアブハ空港、東部カティフ地区へは最も危険レベルの高い「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。

首都リヤドを含む上記地域を除く全土

最も危険レベルの高いレベル設定がなされていない地域でもイエメン領内からのミサイル着弾やテロの可能性が排除しきれないことから「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

イエメン国境から10キロ以内に対し、最高の危険レベルである「渡航を推奨しません:Advise against all travel」が、イエメン国境から10キロ~80キロの範囲に対し、「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。

それ以外の地域は「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」とされていますが、イギリス人を標的としたテロの呼びかけやイエメン領内からのミサイル発射への注意喚起が記載されています。

 

なお、2024年1月イエメンを拠点とし、紅海周辺で商船等の襲撃、近隣国へのロケット砲発射等を続ける武装勢力フーシ派に対し、米英連合軍が空爆を行いました。事実上の軍事衝突が発生している状況とも解釈でき、情勢が急変する可能性も否定はできません。英国政府は1月12日付で中東一円18の国と地域のトラベルアドバイスを更新し、「状況によってトラベルアドバイスが急に変更される可能性がある」との記載を追加しています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月、全世界一斉にリスクレベルが引き下げられ、オーストラリア人の海外渡航が可能となっています。
2023年3月24日付でオーストラリア政府はこれまでよりもリスクレベルを引き下げ、サウジアラビアの国土の大半を「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」に設定しました。イエメン国境から30キロ圏内には最高レベルの「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されており、国境から30キロ~80キロまでの地域も上から二番目の「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されています。

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イエメンとの紛争リスクが深刻であり、特に国境付近では高いリスクレベルが設定されています。国境以外でも過去首都リヤド等へのドローン攻撃などが発生していることを踏まえ、警戒が必要である旨明記されています。加えて、サウジアラビアでは交通事故死が極めて多いとの記載があり、車両での移動中事故に対する注意喚起があります。

 

王家への侮辱やからかい等、またカタールへの同情を示すことは違法であることが明記されています。

6.最近の治安ニュース

米英連合軍によるイエメン武装勢力空爆の影響(2024年1月12日)

サウジアラビアジェッダ市内米国総領事館前銃撃事案(2023年6月28日)

サウジアラビアジェッダでのテロ容疑者自爆(2022年8月10日)

サウジアラビア首都でのミサイル迎撃(2021年12月6日)

サウジアラビア南西部ドローン攻撃に伴う被害(2021年8月31日)

サウジアラビア製油施設へのミサイル攻撃(2021年3月4日)

サウジアラビアでのミサイル迎撃(2021年2月26日)

サウジアラビアジッダ港でのタンカー爆発事案(2020年12月13日)

サウジアラビア第一次世界大戦関連式典での爆発(2020年11月11日)

サウジアラビア仏国領事館の警備員襲撃事案(2020年10月29日)

武装勢力によるサウジアラビアへのミサイル攻撃(2020年6月22日)

 

2020年1月3日にアメリカ軍はイラン軍幹部をイラク国内バグダッドでのドローン攻撃によって殺害しました。8日にはイラン軍がイラクにあるアメリカ軍拠点二か所に対し弾道ミサイルを撃ち込む報復攻撃を実施しました。中東を中心として情勢は不安定になっており、各国政府も自国民に対し、身の安全を守るため警戒を高めるよう呼びかけています。

 

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