メキシコ治安最新情報(2024年3月)/海外安全.jp


0.メキシコにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在メキシコ日本国大使館  :+52-(0)55-5211-0028

◎在レオン日本国総領事館  :+52-(0)477-343-4800

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎緊急事態窓口 :911(事件、事故、火災等)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

海外安全.jp代表
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1.総論

メキシコに対してはいずれの国も特に犯罪発生状況を踏まえ、比較的高いレベルの注意喚起が行われています。テロへの警戒に関する記載はほとんどありませんが、殺人、誘拐、強盗、カージャック等銃器を用いた凶悪犯罪の発生数が非常に多く、強い注意喚起が発せられています。特にアメリカ政府は州ごとに細かくリスクレベルを設定しており、そのレベル設定が日本やオーストラリア政府よりも高くなっている点が特徴的です。
イギリス政府は新型コロナウイルス感染症拡大前には強い注意喚起を発していませんでしたが、コロナ禍を経て、犯罪状況の分析などを踏まえ、一部地域に少し中程度の注意喚起を発するようになっています。
日本政府外務省が設定している危険情報の地域区分とアメリカ政府、オーストラリア政府が国内でも特に注意が必要としている地域は少しずつ異なります。また、日本政府とイギリス政府は地図上リスクレベルがそれほど高くないようにも見えてしまいますが、米国・豪州は全土に黄色以上で表示される注意喚起レベルを設定している点にも注意が必要です

【海外安全.jpのコメント】

イギリス政府を除く三か国の政府は、凶悪犯罪が多発していることを強調しています。特に日本政府は誘拐に対する注意喚起や推奨される安全対策について極めて具体的かつ詳細に記載しており、メキシコへ渡航される日本人のかたは是非一読されることをおススメします。

また、長引く新型コロナウイルス感染症対策の影響もあり、経済状態が悪化、治安情勢も悪化傾向にある点には十分ご注意下さい。各国ともおおむねコロナ禍前よりもリスクレベルは高くなる傾向が読み取れます。

 

また、日本、アメリカ、オーストラリアの各国政府が特に注意が必要としている地域が異なります。メキシコへ渡航する前は日本政府外務省の危険情報(色付きの地図)のみならず、他国政府が高いレベルの警戒を発している地域に入る予定がないか、ご確認されることをおススメします。

2.日本政府の危険情報

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「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

ゲレロ州チルパンシンゴ市及びその周辺地域

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

コリマ州、バハ・カリフォルニア州ティファナ市、ゲレロ州のレベル3地域とタスコ市を除く地域、チワワ州フアレス市、タウマリパス州米国境の一部、ミチョアカン州(一部地域を除く)

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

メキシコ市、メキシコ州、オアハカ州、タバスコ州、ベラクルス州、モレロス州、サカテカス州、バハ・カリフォルニア州ティファナ市以外全域、バハ・カリフォルニア・スル州の一部、ゲレロ州タスコ市、タマウリパス州(米国境の一部レベル2設定地域を除く)、チワワ州チワワ市、シナロア州の一部、チアパス州のグアテマラ国境の一部、ミチョアカン州の一部、ヌエボ・レオン州モンテレイ大都市圏及びその周辺地域、グアナファト州セラヤ市及びサラマンカ市を含む南部地域、ソノラ州オブレゴン市/ノガレス市/グアイマス市/サンルイス・リオ・コロラド市、ハリスコ州グアダラハラ市を含む周辺地域とラゴス・デ・モレノ市を含む東部地域

上記以外の地域は特段の危険情報は設定されておらず地図上白色で表現されています。

 

メキシコでは大規模なテロや襲撃事件などは発生しておらず、その活動拠点や活動の予兆も見つかっていません。他方で、殺人や誘拐といった凶悪犯罪は極めて多く発生しており、日本人もその被害に遭っていることから強いトーンで注意が呼びかけられています。殺人事件数は2017年に史上最多を記録し、誘拐事件も推計では年間7万件にも上るとの記載があります。

 

同じ日本政府外務省の安全情報HPでも類を見ないほど誘拐対策への注意喚起が具体的かつ詳細に記載されています。一部を抜粋します。

誘拐犯は,犯行を行う前に必ず標的とする人物の事前調査を一定期間行うことから,自らの身は自ら守る心構えを持ち,危険度に応じた対策(通勤時の安全対策,住居の警備強化,日常行動上の注意等の総合的な対策)をとることが重要です。具体的には,目立たない(犯罪者は標的を選ぶ際,目立つ人物に目をつける傾向がある),行動を予知されない(行動のパターン化は,犯罪者の襲撃計画を立てやすくする),用心を怠らない(初心を忘れず,定期的に気持ちを引き締める機会を持つ,自分だけは大丈夫とは決して思わない)といった基本的な姿勢が求められます。また,自分に関する情報(身分・行動予定等)の秘匿に努めてください。特にSNS等インターネット上での個人情報の取り扱いについては十分注意してください。
(その他,対策についての詳細は「海外における脅迫・誘拐対策Q&A」( https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html )を参照してください)。

 

加えて、強盗や窃盗、スリ等の被害も多発しています。現地では銃の取得が比較的容易であることから拳銃を用いた強盗事件が発生していること、銃を突き付けられたら絶対に抵抗しないこと、が推奨されています。

また、都市間の移動は地方部を通過する陸路ではなく、空路で移動するよう推奨されています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

アメリカ政府はメキシコに対し、州ごとに細かくリスクレベルを設定しています。


コリマ州、ゲレロ州、ミチョアカン州、シナロア州、タマウリパス州、サカテカス州は誘拐や凶悪犯罪が特に多発していることを理由に「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。

バハ・カリフォルニア州、チワワ州、ドゥランゴ州、グアナフト州、ハリスコ州、モレロス州、ソノラ州、に対しては誘拐や凶悪犯罪の発生状況を踏まえ、「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。

アグアスカリエンテス州、ババカリフォルニア・スル州、チアパス州、イダルゴ州、ヌエボ・レオン州、オアハカ州、プエブラ州、ケレタロ州、キンタナ・ロー州、サン・ルイス・ポトシ州、タバスコ州、トラスカラ州、ベラクルス州、首都メキシコシティ、コアウイラ州、メヒコ州、ナヤリット州、

上記地域でも誘拐や犯罪発生状況を踏まえ「十分警戒してください:Exercise increased caution」が設定されています。

ユカタン州、カンペチェ州

上記二州に対しては強い注意喚起は行われておらず、「一般的な注意を払ってください:Exercise normal precaution」が設定されています。

 

日本政府やオーストラリア政府と比してアメリカ政府はかなり強い注意喚起をほぼ全土で行っている点注が極めて特徴的です(メキシコ以外のほとんどの国に対しては日本ないしオーストラリア政府の方がより慎重に、厳しいリスクレベルを設定しています)。殺人や誘拐、カージャック、強盗といった犯罪が多発しており、十分な注意の上旅行するよう強い注意喚起がなされています。

なお、トラベルアドバイザリーの冒頭、メキシコ国内ではアメリカ政府職員による救援可能地域が限られていること、アメリカ政府職員は夜間自由に国内を移動できる状況ではないことが明記されています。

The U.S. government has limited ability to provide emergency services to U.S. citizens in many areas of Mexico as U.S. government employees are prohibited from travel to these areas.

U.S. government employees are prohibited from intercity travel after dark in many areas of Mexico. U.S. government employees are also not permitted to drive from the U.S.-Mexico border to or from the interior parts of Mexico with the exception of daytime travel on Highway 15 between Nogales and Hermosillo.

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

2023年10月中旬に南部に直撃したハリケーンによる被害が甚大であるとして、観光地アカプルコに対し「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。治安ではなく、あくまで自然災害の被害による生活環境の一時的混乱が背景ですがご注意下さい。

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チワワ州の一部、ソノロア州の一部、ザカテカス州の一部、コリマ州の一部、ゲレロ州の一部、ミチョアカン州の一部、バハカリフォルニア州の一部、グアナファト州の一部、ジャリスコ州の一部、チアパス州の一部に「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。

こうした州を中心に路上犯罪や強盗を含む凶悪犯罪等への警戒が必要と明記されています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付に続き、2022年7月16日付でリスクレベルが引き下げられており、新型コロナウイルス感染症の影響ではなく、治安情勢を踏まえたリスクレベル設定がなされています。

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ミチョアカン州(一部地域を除く)、ゲレロ州(アカプルコを含む)、タマウリパス州、ザカテカス州、シエラマドレ・オクシデンタル山地域周辺、シナロア州の一部、ドゥランゴ州、ソノラ州の一部に対し、上から二番目の「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されています。

これ以外の地域には「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されています。いずれも暴力的な犯罪行為や麻薬組織に関連した暴力行為が背景である旨記載があります。

空港やバスターミナルでの一般犯罪が多いこと、麻薬取引に関連する殺人や誘拐が極めて多く発生していることから十分に注意をするよう呼びかけられています。

6.最近の治安ニュース

メキシコ レオン市内路上での日本人強盗被害事案(2024年2月25日)

メキシコ北東部カルテル幹部逮捕に伴う警戒(2023年11月29日)

メキシコ首都空港敷地内での銃撃戦(2023年9月12日)

メキシコ南部警察官誘拐事件(2023年6月30日)

メキシコ首都近郊火山の活動活発化(2023年5月22日)

メキシコ・米国国境での移民希望者滞留(2023年5月)

メキシコ首都ショッピングセンターでの銃撃事案(2023年4月20日)

メキシコ観光地での襲撃事案(2023年4月15日)

メキシコリゾート地カンクンでの銃撃事案(2023年4月3日)

メキシコ北部米国国境付近での米国人女性行方不明事案(2023年2月)

メキシコ北部ファレス市刑務所への襲撃事案(2023年1月1日)

メキシコ首都ショッピングセンター内発砲事案(2022年10月17日)

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