アラブ首長国連邦治安最新情報(2024年4月)/海外安全.jp


0.アラブ首長国連邦における日本人向けの緊急連絡先

◎在アラブ首長国連邦日本国大使館 :+971-(0)2-443-5696 (アブダビ)

◎在ドバイ日本国総領事館     :+971-(0)4-293-8888 (ドバイ等アブダビ首長国以外)

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

両在外公館の担当地域は以下の通りです。(日本大使館HPより)

管轄首長国
■在アラブ首長国連邦大使館 アブダビ首長国
■在ドバイ総領事館 ドバイ、シャルジャ、アジュマン、ラアスル・ハイマ、フジャイラ、ウンム・ル・カイワイン各首長国

◎警察  :999(国内共通)

◎救急  :998(アブダビ、フジャイラ首長国及びシャルジャ首長国コールファッカン市)

:999(上記以外の地域では警察と同じ番号)

◎消防  :997

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

海外安全.jp代表
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1.総論

アラブ首長国連邦に対しては、日本とイギリス政府はリスクレベルの設定をしていない一方で、アメリカとオーストラリアの両国政府は地図上の色の変化を伴うリスクレベルを設定しています。いずれも近隣国からのドローンやミサイル等による攻撃を理由としてリスクレベルが引き上げられています。
アメリカ政府は2014年12月にUAE国籍女性による米国人女性殺害事件が発生しているほか、ISISからアブダビ首長国がテロの標的として名指しされていることが指摘されており、一定のテロ警戒が必要であるとされています。
ISISに加え2022年1月にはイエメンを拠点とする武装勢力フーシ派によるドローン攻撃が首都アブダビの空港や石油施設付近で発生しています。更なる攻撃も警告されている状況である点は頭に入れておく必要があると言えます。
また、2023年10月以降、イスラエル軍とパレスチナ武装勢力間で継続している衝突による余波への警戒も必要です
一般犯罪については、事件数が公表されていないため、比較が難しいですが、日本政府外務省によれば、現地報道では麻薬犯罪、集団強盗、性犯罪等への被害報告が多いとのこと。また、軽微な交通事故でも手錠をかけられて短時間拘束されるなど、日本とは違った治安当局の行動にも注意するよう記載されています。

【海外安全.jpのコメント】

日本政府外務省が発するアラブ首長国連邦へ渡航する日本人への注意喚起は最小限です。ISISやイエメンを拠点とする過激派勢力による脅威は一定程度存在しますが、治安当局側の警戒もあり現状同国内でテロが発生したとしても、単独もしくは数人の実行犯による小規模な攻撃等ではないかと考えられます。

他方で、ISISは特にアブダビ首長国をテロの標的として挙げている他、イエメンへの武力介入にも参加するアラブ首長国連邦に対し、同国武装勢力フーシ派が攻撃の標的として警告を発しており、今後情勢が変化した際に、大規模なテロが発生する可能性は否定しきれません。

米・英・豪は直近発生している近隣国からのドローン攻撃やミサイル等飛翔体による攻撃が起こりえる旨明記しており、米・豪はリスクレベルを明確に引き上げています。

ほとんどのケースでは、オーストラリア政府のアドバイスにあるように「常識的な行動をとる」ことができれば不必要なトラブルは回避できますが、特に大勢の人が集まる場所や宗教的にシンボリックな場所や行事に近づく際は不審な人物、不審物が周囲にないか、注意することをおススメします。

2.日本政府の危険情報

全土に対し、特段の注意喚起はありません。

ただし、1)2014年12月にショッピングモール内でアメリカ人女性殺害および手製爆弾による爆弾テロ未遂が発生したこと、2)ISISのテロ標的リストにアブダビ首長国が含まれていること、3)イエメン武装勢力への軍事作戦に有志連合の一員として参加しており、国内でもイエメン出身過激派が摘発されていること、からテロへの警戒を下げないよう記載があります。

また、現地の一般犯罪件数は未公表ですが、現地報道によれば、麻薬犯罪、集団強盗、空き巣および銃器を用いた強盗、婦女暴行事件や子供への性的暴行事件がよく報告されているとの記載があります。特に性犯罪の報道は頻繁であり、タクシーは後部座席に座る、ヒッチハイクはしない、といった注意喚起が明記されています。

なお、政治的結社、王族批判、債務不履行、婚姻関係にない男女の性的関係、女装、自殺未遂等、日本では必ずしも犯罪とされていない行為が犯罪として規定されていますので注意が必要です。軽傷程度の交通人身事故等でも手錠をかけられて身柄を拘束される等、日本と取り扱いが大きく異なる事例もあるため、注意するよう呼びかけられています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

アラブ首長国連邦を含む湾岸諸国一帯で、ドローンによる攻撃の可能性が否定できないとして全土が「十分警戒してください:Exercise increased caution」が設定されています。

全土

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

特段の注意喚起はありません。文化・習慣的に、イスラム教国であることを踏まえ、現地の人々の信仰や習慣を尊重するよう注意書きがあり、違反した場合には思いがけない罰(Penalty)があり得る旨明記されています。

また、2022年前半イエメンを拠点とする武装勢力によって、アラブ首長国連邦領内へ多数のロケット砲が撃ち込まれた事案について詳細な説明があります。ミサイル防衛システムにより、甚大な被害は発生していませんが、破片等による負傷者が発生している旨、記載がありますのでご注意ください。

なお、2024年1月イエメンを拠点とし、紅海周辺で商船等の襲撃、近隣国へのロケット砲発射等を続ける武装勢力フーシ派に対し、米英連合軍が空爆を行いました。事実上の軍事衝突が発生している状況とも解釈でき、情勢が急変する可能性も否定はできません。英国政府は1月12日付で中東一円18の国と地域のトラベルアドバイスを更新し、「状況によってトラベルアドバイスが急に変更される可能性がある」との記載を追加しています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

2023年11月20日付でオーストラリア政府はそれまでよりも警戒レベルを一段引き上げ、全土を「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」に設定しました。同年10月上旬から続くパレスチナ武装勢力とイスラエル軍の衝突の影響が及びうるとして現地滞在中のオーストラリア人に対し常に最新情報を注視すること、テロを含む自身周辺での治安事案に注意することを呼び掛けています。

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また、2022年に発生したようなイエメンからのロケット砲発射及びその撃墜に伴う破片の落下等は起こりえる点も記載が残っています。常識に従って、不審な動きをする人物や不審物があれば警戒するように呼び掛けています。

6.最近の治安ニュース

米英連合軍によるイエメン武装勢力空爆の影響(2024年1月12日)

アラブ首長国連邦首都へのドローン攻撃(2022年1月17日)

2020年1月3日にアメリカ軍はイラン軍幹部をイラク国内バグダッドでのドローン攻撃によって殺害しました。8日にはイラン軍がイラクにあるアメリカ軍拠点二か所に対し弾道ミサイルを撃ち込む報復攻撃を実施しました。中東を中心として情勢は不安定になっており、各国政府も自国民に対し、身の安全を守るため警戒を高めるよう呼びかけています。

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