タイ治安最新情報(2024年4月)/海外安全.jp


0.タイにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在タイ日本国大使館      :+66-(0)2-696-3000

◎在チェンマイ日本国総領事館  :+66-(0)52-012-500

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察/救急  :191

◎観光警察(英語可)  :1155

◎消防    :199

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

海外安全.jp代表
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1.総論

タイの大部分に対して、日本・アメリカ・イギリスは旅行を制限するようなアドバイスは行っていません。ただし、首都バンコクや中部の観光都市(プーケットやホアヒン等)で2015年、2016年、2017年と爆弾事件などが発生していることへの注意喚起が明確になされています。

オーストラリアはこうしたテロ行為を他の参加国よりも重く見ており、タイの大部分について一段高い「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」を設定しています。

なお、いずれの四か国も南部に拠点を置く武装反政府勢力による暴力行為を背景として南部の4つの県(ナラティワート県、ヤラー県、パッタニー県、ソンクラー県)にはできる限り立ち入りを避けるようアドバイスしています。

【海外安全.jpのコメント】

日・米・英・豪の四か国が渡航を再検討するもしくは立ち入りを控えるよう呼び掛けている南部の4つの県を除けば、タイの大部分は渡航可能なエリアと言えます。ただし、2015年と2017年には首都バンコクで、また2016年には中部の観光都市(プーケットやフアヒン等)で爆弾事件が発生しており、全く安全です、という状況ではないことを理解した上で、渡航するようにしてください。

特に常識を働かせ、周囲に不審人物や不審物がないか、は常にチェックすることをおススメします。

一般犯罪も多く発生していますが、大部分は窃盗やスリ、詐欺に分類される事件です。日本よりも犯罪の発生率が高く、また外国人旅行客はお金を持っていると思われがちですので、十分注意してください。

2.日本政府の危険情報

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「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

南部ナラティワート県、ヤラー県、パッタニー県とソンクラー県の東側(ジャナ郡・テーパー郡・サバヨーイ郡)

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

ソンクラー県の西側

⇒タイ南部にはタイからの分離独立を主張する武装グループが拠点を有しており、たびたび襲撃事件や爆発事件などが発生していることから、警戒が必要です。

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

タイとカンボジアの国境付近、プレアヒビア寺院周辺、スリン県のカンボジア国境付近一部

⇒過去にタイとカンボジア間で両軍の軍事衝突が散発的に発生してきた経緯があり、警戒が必要である旨記載されています。

 

タイで直近発生している主なテロ事件として以下二件の記載があります。

・2015年8月首都バンコクにおいて爆発事件が発生し、20人が死亡、日本人1人を含む多数が負傷。実行犯数名は逮捕されるも、関係者の大半は逃亡中。

・2016年8月、プーケットやフアヒン等中南部7県において、連続爆発事件が発生。

タイでは特に首都バンコクで犯罪被害の報告に遭う日本人が多い旨記載があります。大半は窃盗や詐欺とのことですが、一部命の危険を伴う殺人事件や強盗事件も発生しているため、日本とは違う、外国にいるのだという意識を持つよう呼びかけがなされています。

日本政府外務省は特にタイへの渡航時に楽観しすぎないよう注意を呼び掛けており、以下の通り記載があります。

一般的に他の外国に比較して、「タイは安全、治安が良い」と言われていますが、2015年には市街地における爆発事件等が発生しています。「タイなら大丈夫、安全」と思い込んで、タイの犯罪情勢を楽観視してはいけません。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

現時点では新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ一時全土に「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されていましたが、2022年4月以降パンデミック拡大前と同じレベルに戻されています。

南部ソンクラー県、パッタニー県、ヤラー県、ナラティワート県


南部4県を除く全土

タイの大部分は「一般的な注意を払ってください:Exercise normal precaution」の対象です。

ただし、南部ソンクラー県、パッタニー県、ヤラー県、ナラティワート県の4つの県については、市民による騒擾(反政府運動等)を背景として「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」と比較的高めの警戒レベルが設定されています。これらの地域では渡航の必要性を再検討し、もし渡航する場合でも攻撃の対象となりうる政府関係機関への立ち寄りを控えるようアドバイスされています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

現在は新型コロナウイルス感染症の拡大前と同じリスクレベルに設定されています。

南部の4県、ソンクラー県の南部、パッタニー県、ヤラー県、ナラティワート県について「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。

これらの地域では2004年以降断続的にイスラム教武装勢力による暴力事案が発生していることが背景となっています。イギリス人の犠牲者は出ていない、としていながらもこれまで民間人を含む7700人以上が死亡している点、注意するよう呼びかけられています。

特に標的となっているのは軍関係機関、政府関係機関、ホテル、ディスコ、バー、マーケット等とされています。

そのほか首都のバンコクでも2015年以降何度か爆発事案などが発生していることが説明されており、特に重要な記念日等はテロにも警戒するようアドバイスされています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で国土の大部分が「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にリスクレベルが引き下げられました。

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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

タイでは南部の4県(ソンクラー県、パッタニー県、ヤラー県、ナラティワート県)について上から二段階目となる「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されていますのでご注意ください。この背景は他の政府同様、タイ南部を拠点とする武装勢力による事案が相次いでおり、現在も攻撃のリスクが排除できないためです。ただし、2023年11月10日にこれまでよりも一段階緩和されるなど豪州政府は治安が安定化していると評価しています。

他方で、首都バンコクを含む国土の大部分は「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されており、日本、アメリカ、イギリスよりもやや厳しめの評価となっています。この背景は全土で政治的な不安定さが残ること、また各地(特に首都バンコクや中部の観光都市)で爆弾事件が発生していることが理由となっています。

6.最近の治安ニュース

タイ首都中心部発砲による巻き添え死亡事案(2023年11月11日)

タイ首都ショッピングモールでの銃撃事案(2023年10月3日)

タイでの台湾人麻薬組織摘発事案(2023年8月19日)

タイ南部爆発と携帯電話電波塔への放火(2023年5月12日)

タイ中部ムアンペチャブリでの銃撃立てこもり(2023年3月22日)

タイ最南部鉄道線路爆破事案(2022年12月6日)

タイ北東部保育園での銃乱射事件(2022年10月6日)

タイ深南部での同時多発爆発・放火事案(2022年8月16日)

タイ首都中心部での暴力的抗議活動(2022年6月11日)

タイ南部列車を標的とした爆発事案(2021年12月14日)

タイ首都中心部でのデモ隊と治安当局の衝突(2021年8月7日~)

タイ首都郊外化学工場の爆発、避難指示(2021年7月5日)

タイ不敬罪での長期懲役判決(2021年1月19日)

バンコク中心部での中国人実業家誘拐事案(2020年12月4日)

タイ大規模な反政府デモ(2020年9月~)

【事案分析】中部コラート軍人による立てこもり事案(2020年2月8日)

2020年2月8日現地午後タイ中部コラートで軍人が上官を殺害したのち、市街地で一般人に銃撃を浮く得た上でショッピングモールに立てこもる事案が発生しました

 

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