2025年5月28日以降カンボジアとタイの国境地域で両国正規軍同士の衝突が発生し、カンボジア兵1名が死亡しました。両軍の緊張が高止まりしており、6月7日にはタイ側が国境検問所の開門時間短縮を行った他、両軍ともに国境付近への部隊増強を行っています。現時点で当該地域への接近は推奨できません
日本ではほとんど知られていませんが、カンボジアとタイは国境線を巡る認識の相違があり、過去両国軍は断続的に銃撃戦を行ってきた経緯があります。大規模な衝突は2008~9年プレアビヒア寺院周辺のもの、2010~11年にはターモアン・トム寺院、タークロバイ寺院付近で発生しています。過去15年近く外交的対話の結果情勢が落ち着いていましたが、5月28日にカンボジア北部プレアビヒア州モムバイ地区で再度銃撃戦を伴う衝突が発生し、カンボジア兵1名が死亡しました。この事態を受け、両軍間の緊張は再び高まり政府間の協議が行われていますが、6月14日に予定されている国境委員会での協議にカンボジアが応じないことを背景にタイ政府・タイ軍が警戒を高める措置を講じました。具体的には主要な陸路国境であるカンボジア領バンティアイミエンチェイ州のポイペトとタイ領アランヤプラテート国境ではこれまでの午前6時から午後10時までの開門時間が午前8時から午後3時までに短縮されています。
現時点で、大規模な衝突は発生していないものの、両国軍ともに国境周辺に部隊を増強しており、何らかのきっかけによっては再度大規模な銃撃戦等が発生することも否定できません。係争の対象地となっているのは主にモムバイ地域と、ターモアン・トム寺院、ターモアン・トーイ寺院、タークロバイ寺院の3つの寺院周辺の土地です。
タイ及びカンボジアの日本国大使館はこれら地域への立ち入り及び当該寺院の観光を当面控えるよう注意喚起しています。
【参考】カンボジア治安最新情報
【参考】タイ治安最新情報