スウェーデン治安最新情報(2024年2月)/海外安全.jp


0.スウェーデンにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在スウェーデン日本国大使館:+46-(0)8-579-35300

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎非常時(警察/消防/救急):112(国内共通)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

スウェーデンに対しては、過去各国政府とも安全度が高いと評価していましたが、2023年年初から、国内で過激な主張をする人物がイスラム教の聖典であるコーランを焼却するパフォーマンスを行っています。これを受け、イスラム教徒の多い国はコーラン焼却に強く抗議しました。2月8日にはスウェーデン国家警察が同国内でテロの脅威が高まっているとして注意喚起を行っています。また、2023年8月にはスウェーデン政府自ら国内のテロ警戒レベルを引き上げています。
こうした背景を受け、アメリカ政府、オーストラリア政府はリスク評価を引き上げています。他方、日本政府とイギリス政府は現時点でリスクレベルを引き上げておらず、この点で危険度設定に差が生じています。
一般犯罪の発生率は日本と比べて約10倍程度高いですが、英語圏各国のトラベルアドバイス上は犯罪に対する強い注意喚起はありません。唯一、日本政府外務省はスリや置き引きに注意し、貴重品から目を離さないように、注意喚起を行っています。

【海外安全.jpのコメント】

2022年夏ごろからスウェーデンの治安はやや悪化傾向が観察されていました。首都での銃撃や爆発も報告されており、ご自身の身の安全を確保するためにこれまでよりも慎重な対応が求められるタイミングと言えます。現時点で日本とイギリス政府はリスクレベルの引き上げまでは行っていませんが、米国や豪州は2023年2月にリスクレベルの引き上げを行っている点もご注意下さい。

 

他方で、組織だった大規模なテロがスウェーデン国内で行われることは考えにくのも事実です。いわゆる「ローンウルフ型」のテロ、つまり車両の暴走やナイフや銃、あるいは自作の爆発物等を用いた単発のテロ事案への警戒を怠らないようおススメします。

2.日本政府の危険情報

全土に対し、特段の注意喚起はありません。

ただし、スリや置き引き等一般犯罪への注意が必要であることが明記されています。特に事件が多く発生している場所として、以下が明記されています。

(1)空港、ストックホルム中央駅、地下鉄駅構内、列車、フェリーなどの交通機関
(2)旧市街(ガムラスタン)、バーサ号博物館等の観光スポット
(3)ホテルのロビー、レストラン、デパート等

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ一時全土が「渡航を中止してください: Do not travel」となっていましたが、2022年4月19日付で新型コロナウイルス感染症パンデミック拡大前の治安レベルに戻されました。
2023年2月13日、スウェーデン国内でのテロリスクの高まりを踏まえ、改めて一段階リスクレベルが引き上げられています。

全土

直近のコーラン焼却パフォーマンス等を受けたテロリスクの高まりを踏まえ、全土が「十分警戒してください:Exercise increased caution」の対象です。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

特段強いリスクレベルは設定されていません。ただし米国同様「Terrorists are very likely to try and carry out attacks in Sweden(テロリストがスウェーデン国内でテロを試みる可能性は高い)」との記載があります。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日に引き続き、2022年6月30日付でスウェーデンに対するリスクレベルが引き下げられており、一旦全土が「一般的な注意を払ってください:Exercise normal safety precautions」となりました。この時点で新型コロナウイルス感染症拡大前と同じ状態に戻っています。
2023年2月28日、同国内でのテロリスクの高まりが懸念されるとして、アメリカ政府に続き、全土でリスクレベルを一段引き上げました。

sweden-aus-level

オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

スウェーデンは全土が5段階中3段階目の「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」とされています。イスラム教聖典を焼却するという過激な活動家の行動を踏まえた、一時的なリスクレベルの引き上げと想定されます。また、2023年8月のスウェーデン政府による国家テロ警戒レベル引き上げについても明記されています。

なお、2020年1月15日付で、オーストラリア政府は首都ストックホルムを中心にスリ等一般犯罪についても増加傾向である旨注意喚起しています。

6.最近の治安ニュース

スウェーデン首都イスラエル大使館での爆発物発見(2024年1月31日)

スウェーデン中核都市内パブでの銃撃事案(2023年9月22日)

スウェーデン南部コーラン焼却に対する抗議活動(2023年9月3日)

スウェーデン国内テロ警戒レベルの引き上げ(2023年8月17日)

スウェーデン首都境界でのテロ未遂、計画者逮捕(2023年5月)

スウェーデン首都地下鉄駅での銃撃事案(2023年4月5日)

スウェーデン警察によるテロ注意喚起(2023年2月8日

スウェーデン暴力組織間の抗争激化(2022年12月~)

スウェーデン首都レストランでの爆発(2023年1月17日)

スウェーデン首都イベント会場での爆発物発見(2022年8月22日)

スウェーデン南部ショッピングセンターでの銃撃事案(2022年8月19日)

スウェーデン南部高校内での刺殺事案(2022年3月21日)

スウェーデン都市部集合住宅での爆発(2021年9月28日)

2019年1月~8月の犯罪発生件数が昨年に比して増加しています。治安の絶対的レベルに関わらず、「治安が悪化傾向にある」場所では、過去のリスク認識を改めない限り不測の事態に巻き込まれる確率が高くなります 駐在、滞在中の方は改めてご自身の安全のために、どのような対策が必要かご検討されるようおススメします

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