海外に関係者を派遣する以上最低限やっておくべきこと
海外に関係者を駐在させたり、出張させたり、といったケースは最近では珍しくもなくなりました。ただし、日本の多くの企業/団体は無防備なまま関係者を海外に送り出しているのではないでしょうか?海外に関係者を派遣するということは、従業員を北海道や九州に出張させることとは意味合いが異なります。海外に支店を設けるということは、東北や沖縄に新たな営業拠点を設けることと意味合いが異なります。
なぜなら、関係者を日本国内で労働させる場合と海外で労働させる場合に求められる安全配慮が全く異なりからですね。日本国内であれば全国どこに行っても、治安面や衛生面でのリスクはほぼ変わりません。しかしながら、世界の国・地域では日本とは治安情勢も、政治環境も、衛生環境も、交通事情に至るまで、全く異なって当然です。日本国内の支店開設や出張と同じ感覚で関係者を派遣していては、安全が守れないのも必然ですね。
他方で、日本国内にいると世界各地の実際の様子を想像することはなかなか難しいもの。そのため、日本企業/団体による海外展開では本来必要な安全配慮義務が満たされていないと思われる例を多く見かけます。また、各企業/団体の安全やコンプライアンス、人事総務部門の担当者も
「海外に関係者を派遣する際の安全対って何をやればいいのか?」
「海外に関係者を送る場合どの程度まで対応すればよいのだろうか?」
「どのような制度・仕組みを作っておけば企業/団体として責任を果たしたと言えるのか?」
といった点で悩まれているようです。
この記事のまとめとして、海外に関係者を送り出す企業/団体がどのような要素を満たしておいた方がよいのか、ご説明したいと思います。
既にご説明した通り、「安全配慮義務」を履行するということは以下の対応を行うことです。
・まずなにより事件・事故を発生させないこと
・そのために想定できる事件・事故の芽を摘んでおくこと
・万が一事件・事故が発生しても、「被害を最小限にとどめた」と言えるような労働環境整備を行うこと
安全配慮義務の原理原則は日本国内であれ、世界各地であれ変わりません。
1)進出先のリスクを把握し
2)適切に関係者に伝達し、
3)事件事故を予防し、
4)万が一の際の被害を最小化する。
この四点を意識すれば、おのずと安全配慮義務は履行されるはずなのです。
具体的な対策は後編で解説させていただきますが、一般論として海外に進出する際満たしておくべき「安全配慮義務」の要素をご紹介してこの項を終わりにしたいと思います。
この項終わり