【参考情報】アフガニスタン タリバンのガズニ攻撃

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タリバンが中部ガズニ市を集中攻撃中

現在アフガニスタン政府は同国の56%しか支配できていないとされています。タリバンは約20%弱を支配しており、25%ほどは三つの勢力による戦闘が続いている状況です。(アメリカ政府のアフガニスタン復興特別査察官報告書による)つまり、アフガニスタン政府は一国の正当な政府として世界各国から承認されているものの、同国全体を掌握しきれているわけではありません。

 

NY Times インフォグラフィックより(濃いオレンジはタリバンが支配している地域。薄いオレンジは政府とタリバンが支配権を争っており、政府が十分支配しきれていない地域)

 

そんな状況下、先週からタリバンは中部ガズニ(Ghazni)州の州都ガズニ市に波状攻撃を仕掛けています。その攻撃はこれまでにない規模のもので、既に5日以上戦闘は継続しており、軍・警察関係者少なくとも100人が殺害されています。加えてガズニ市北側の政府軍基地もタリバンの手に落ちているとの情報もあります。

ガズニ市そのものは人口が20万人~30万人のいわゆる「田舎町」に相当します。ただ、地図でもわかるとり、首都カブールからわずか150キロほどしか離れていません。首都に極めて近い地域の州都をタリバンが一斉攻撃を行ったこと、また完全に州都を制圧していないにせよ、相当数のアフガン軍兵士が殺害され、一部はタリバンに投降したことを考えるとその意味合いは大きなものがあります。

 

なお、ガズニ市の戦闘は現在も8月14日時点でも継続しており、アメリカ軍に支えられたアフガン政府軍とタリバンのいずれが同市を掌握するか、注目されます。(タリバンは同市を既に掌握したと発表していますが、アメリカ政府軍はこれを否定する声明を発表しています)

 

8月16日追記。15日の時点でタリバンはガズニ市から撤退しました。最近のタリバンの戦術として長期的に都市を占拠することはしておらず、今回も同様に「中核都市を占拠する能力がある」ことを誇示することが波状攻撃の目的だったようです。

【次ページでは・・・ガズニ市の掌握はかなり大きな意味がある、その背景に迫ります】