アメリカ国務省2017年テロ発生状況レポート

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テロの発生傾向がある程度認識できる

前のページで国務省報告書の概要をお伝えしました。

最後は同報告書の付録として公表されている統計情報(STATISTICAL INFORMATION ON TERRORISM IN 2017)に記載されている表を見ながらテロの発生傾向を読み解いてみましょう。

 

以下が国務省報告書付録に掲載されている月別のテロ件数、死傷者数、誘拐・人質数の表です。

 

Table 1: Terrorist attacks and casualties worldwide by month, 2017

Month

(月)

Total Attacks

(事件数)

Total Deaths*

(死亡者数)

Total Injured*

(負傷者数)

Kidnapped/Hostages

(誘拐・人質被害者数)

January

688

1348

1610

210

February

689

1210

1621

711

March

782

1780

1770

1042

April

671

1387

1232

355

May

845

2300

2303

1463

June

879

2057

1955

1382

July

749

1447

1436

717

August

757

1628

1936

695

September

668

1154

1283

310

October

632

1914

1716

342

November

647

1491

1472

1487

December

577

1037

1127

223

Total

8584

18753

19461

8937

*Includes perpetrators

 

パッとみていただくだけでも、5月6月に事件数、被害者数が多いな、ということに気づかれるのではないでしょうか?なぜ5月6月に事件数が多くなったのでしょうか?

 

要因は当然一つではありませんが、間違いなく関連しているのがイスラム教における「ラマダン」月の存在です。2017年は5月25日頃~6月24日頃(国によって数日前後しました)です。イスラム教のカレンダーは普段我々が使う太陽暦のカレンダーと比べ、毎年11日前後ずれていくので、毎年同じ時期ではないのですが、「ラマダン」期間中は

 

イスラム教過激派がテロを呼び掛ける、

その呼びかけに応じたテロ攻撃は神の意志に沿い現世での功徳になると考えるイスラム教徒もいる、

多くのイスラム教宗教行事が行われイスラム教内の宗派間攻撃も活発になる、

 

といった要因が絡み合い、例年テロ事件数が多くなる傾向にあります。

 

弊社でもテロの巻き添えを避けるためにリスクの高いタイミングを避けましょう、とお伝えしていますが、まさにこの「ラマダン」期間中はリスクの高いタイミングであるということが国務省報告書にも表れています。

 

全世界をまとめた傾向ですので、あくまで一般論にはなるのですが、こういった傾向を知っているか知らないか、だけでも命の守り方は変わってくるはずです。