2025年12月18日バングラデシュ首都ダッカ及び東部チッタゴンで暴動が発生しました。先週銃撃された著名な若手政治指導者の死亡が報じられたことを受け、抗議活動が発生し一部参加者が建物の破壊や放火などに及びました。滞在中の方は群衆が集まる場所には近づかないことをおススメします。

事件は、先週、若者主導の運動で前政権を退陣に追い込んだ中心人物の一人であるシャリフ・オスマン・ハディ氏が、ダッカ市内のモスクを出た直後に覆面の襲撃者に銃撃され、18日に治療先のシンガポールで死去したことを受けて発生しました。銃撃は、バングラデシュ当局が2024年の蜂起後初となる選挙日程を発表した翌日に起き、ハディ氏は無所属候補として立候補を準備していたとされています。
ハディ氏の死亡が伝わると、数百人~数千人規模の支持者が首都ダッカの中心部に集まり抗議活動を展開しました。集結した人数そのものは多いとは言えませんでしたが、参加者の一部が現地メディアのオフィスや政党事務所が破壊され、一部は放火されました。警察は現場に部隊を派遣し、消防が建物内に取り残された記者らを救出しました。暴動は東部チッタゴン等他の都市にも拡大しています。
昨年夏に当時首相だったハシナ氏がインドに逃れて以降バングラデシュの暫定政府を率いるムハマド・ユヌス氏は、ハディ氏の死を「国家にとっての重大な損失」と述べ、暴力による選挙妨害は容認しない姿勢を示しています。捜査当局は複数の関係者を拘束し、事件の全容解明を進めています。今回の暴動の背景には、2024年の学生主導の抗議運動により、15年続いた権威主義的統治が終わり、元首相ハシナ氏がインドへ逃れた政治的混乱が継続している状況があります。ハシナ氏は昨年11月、抗議者への武力行使を許可したとして人道犯罪で死刑判決を受けており、来年2月19日予定の選挙に向け政治情勢は不安定と言わざるを得ません。
現地滞在中の方や渡航を予定している方は、選挙関連の最新情報には十分注意の上、抗議活動が発生している地域には近づかないという対応が推奨されます。また、騒乱が発生した場合には治安当局の指示に従い、報道機関や政府発表など信頼できる情報源から最新情報を確認することをおススメします。



