2025年12月7日ベナン最大都市コトヌーで銃撃が発生し、軍の一部がクーデターを試みる事案が発生しました。兵士らが国営テレビを占拠し、「大統領を解任し、権力を掌握した」旨を宣言しましたが、その後政府・軍が一味を拘束しクーデターの試みは失敗に終わっています
一連のクーデターの試みは7日日曜日の早朝に始まり、約12時間で終結したと報じられています。最大都市で事実上の首都であるコトヌ―市内中心部、大統領私邸付近等複数個所で銃撃戦が発生した後、国営テレビ局が占拠され、「軍事刷新委員会」を名乗る兵士の一団が、国営テレビで大統領の解任、国境閉鎖、政党活動停止を一方的に宣言しました。
大統領が国外に逃亡したといった様々な情報が飛び交いましたが、数時間後に政府及び軍の高官が共同で「大統領は無事であり、国家機関は正常に機能している」旨を発表、クーデターを試みた兵士十数名と首謀者とみられる中佐を拘束しています。現時点で身柄を拘束されている軍兵士らの取り調べが行われており、詳細な動機や目的は発表されていません。
日本を含む各国大使館は相次いで同国滞在中の自国民向け注意喚起を発表し、安全を確保するよう呼びかけていました。政府・軍の発表により一旦事態は収束しているとみられますが、在ベナン日本国大使館は以下4点に引き続き注意するよう現地在留邦人に呼びかけています。
• クーデターは失敗に終わり、事態は沈静化したと政府は説明しているが、一部地域で散発的な銃声が確認されている。• 不用不急の外出を控え、自宅待機することを推奨。• 外出が必要な場合は身分証を携帯し、集会や抗議活動には近づかないこと。• 新たな情報が確認され次第、再度領事メール等で通知する。
なお、アフリカでは近年クーデター未遂やクーデターが相次いでいる点は事実です。他方で、クーデターは一般的に当該国の権限掌握が目的であり既存の政府ないし軍の高官が標的となります。このため、外国人を標的にした銃撃や襲撃・拘束などが起こることはなく、偶発的な巻き添え被害に注意し安全な場所に立てこもっていれば被害は最小化できます。またクーデターが成立してしまえば秩序が回復することが多く、過剰に反応する必要はありません。
ただし、スーダンの事例のように軍内部が分裂し、同等の軍事力を有するグループ同士が衝突した場合には「内戦」に発展するためこの場合には速やかな退避が必要と言えます。



