2024年11月11日、中国南東部珠海市のスタジアム付近で、現地男性が運転する車両が群衆に突入し、多数が轢かれる事案が発生しました。12日治安当局は35人が死亡、43人が負傷したと発表しています。運転手はその場で逮捕されており、個人的な生活の行き詰まりが動機の一つと想定されています。
本件は多数の市民が集結していたスタジアムに個人が車両で突入し、多数が死傷した事案です。類似の事案としては2016年いわゆる「ローンウルフ型」のテロ事案に分類される凶行であり、犠牲者数が非常に多い点が特徴です。犯人は直近離婚に伴う財産分与の問題でストレスを抱えていたとの情報があり、個人的な不満を社会にぶつける格好で実行したものと想定されます。犯人は62歳の中国人男性であり、中国人による中国人への無差別攻撃だったと言えます。犯人は現場で身柄を拘束されていますが、負傷していることから、治療をしながらの取り調べが行われるものと想定されます。ただし、既に本事案に関連するSNS画像や動画等が削除されていることを考えれば、捜査情報等は一般に公開されない可能性があり、詳細な動機や標的をどのように決めたのか、等の重要な情報が不明なままとなることも想定されます。
昨年夏以降、中国では様々な要因で抵抗ができない弱者を狙った無差別攻撃やローンウルフ型のテロに分類される犯行が断続的に発生しています。本事案も自家用車で群衆に突っ込むという犯行手法であるため特別な訓練や爆発物製造技術等特殊な踏力は不要な犯行です。中国国内のどこで発生してもおかしくなく、また日本人が死傷してもおかしくない、という事案である点に注意が必要です。
【参考事案】2016年フランス南部ニース花火大会へのトラック突入事案(死者84名、負傷者202名)