2020年9月1日、フランスの新聞社「シャルリー・エブド」はイスラム教預言者の風刺画を再掲載すると発表しました。この風刺画は2015年1月7日、同紙のパリ本社が襲撃され、編集長や風刺漫画家ら12人が殺害された事件の発端と言われているものです。その後の3日間、関連の事案により合計17名が犠牲になっています。
イスラム教預言者ムハンマドを侮辱したとの指摘もあるこの風刺画を再掲する方針は、9月2日、シャルリー・エブド本社襲撃に関与したとされる容疑者らの裁判が開始されることを踏まえて決定されたとのこと。フランス国内のイスラム教徒グループの指導者は今回の風刺画再掲載を無視するよう声明を発表しています。ただし、イスラム教の教えの一部(ハディース)では神聖なる存在であるムハンマドの顔を描いたり、偶像化することは禁止されており、今回の方針発表によって新たな反発が発生する可能性は否定しきれません。また武力行使をも辞さないグループによる関連の襲撃事件なども想定しておくに越したことはありません。
本件に関する反応
9月1日、フランスのマクロン大統領は「表現の自由」を背景として、風刺画の再掲載を容認するスタンスを表明しました。
9月4日、パキスタン北西部ペシャワールで数万人が集まりシャルリー・エブドによる風刺画再掲載に抗議しました。
9月10日、イラン首都テヘランで抗議集会が行われました。