2024年12月17日現地朝、モスクワ市内の住宅街でロシア軍の高官が自宅から出てきた際に爆発が発生し、暗殺される事案が発生しました。本件はウクライナの特殊部隊による犯行とみられており、標的はロシア軍高官のみだったと想定されます。他方で、ロシア首都でも外国の作戦によりロシアから見た「爆破テロ」が発生している点には注意が必要です。
今回爆発によって暗殺されたのはロシア軍の放射線・化学・生物兵器作戦責任者を務める将軍クラスの軍人です。ウクライナの情報機関が犯行への関与を認めており、ロシアとウクライナの軍事衝突に伴う、ロシア国内での暗殺行為と想定されます。標的は死亡した将軍クラスの軍人とそのアシスタントのみであり、将軍の自宅出口付近に置かれた電動スクーターに仕掛けられた爆発物を起爆することによって暗殺が行われました。ロシア人の一般国民を巻き込まないよう計画されていたものと解釈できますが、住宅街での爆発により、思いがけない巻き添え被害が発生していた可能性は否定しきれません。
また、本件はロシアと軍事的に衝突しているウクライナが実行した旨、ウクライナ保安局が明らかにしています。ウクライナ側から見れば侵略者であるロシアに対し今回のような市街地での爆発、あるいはすでに実施されているドローンやミサイル等によるロシア大都市への攻撃は「正当防衛」となります。ただし、その行為はロシアで暮らす日本人から見れば明白な攻撃であり、身の安全を確保するためには現地の最新情報に注意し、必要な防御策、避難先の確保等を行っておくことが極めて重要です。