2023年4月6日レバノン南部地域の武装勢力がイスラエル北部に向け数十発のロケット砲を発射しました。この事態を受け、翌7日早朝にイスラエル軍がレバノン南部を空爆しています。エルサレム市内のモスクへのイスラエル治安部隊突入を機に、周辺地域での緊張が高まっている点に注意が必要です。
レバノン南部からロケット砲を発射しているのはパレスチナ系武装勢力ハマスとみられています。イスラエルはロケット砲等に対する防空システムを有していますが、多数のロケット砲が発射されたことにより6日には数発が防衛しきれず着弾し、負傷者が発生しました。この攻撃への報復としてイスラエル空軍はロケット砲が発射されたと思われるハマスの拠点を目標に空爆を実施しています。レバノン南部ティール市南側郊外、パレスチナ難民キャンプ付近への攻撃が確認されていますが、死傷者はこれまで確認されていません。また、パレスチナのガザ地区にも空爆が実施されています。
一連の応酬は4月5日未明、エルサレム市内のイスラム教聖地アル・アクサモスクに立てこもったパレスチナ人らの排除を目的にイスラエル治安部隊がモスクに突入した事案に端を発しています。現在イスラム教のカレンダーでは神聖なラマダン月の最中であり、一年の中でも宗教心が高まりやすいタイミングです。モスクへの治安部隊突入には日ごろからイスラエルと対立しているパレスチナ系住民のみならず、アラブ諸国からも非難が上がっており、当面の間治安情勢が悪化する可能性も排除できません。
【参考】エルサレム市内アル・アクサモスク内での衝突
