2024年12月26日シリア西部タルトゥース付近で旧アサド政権派とみられる武装勢力が現在のシリア警察の一団を待ち伏せ攻撃し少なくとも14名が死亡しました。現在シリアではアサド政権崩壊に伴い、確固たる支配体制が整っていません。新政権の軍事部門が事件現場付近で旧政権派の摘発を発表した数時間後のことでした。体制崩壊後も治安の懸念は払しょくされていません。
シリア政府の治安維持を担当する内務省はロシアに亡命したアサド氏の支配下にあった旧政権で軍事部門を担当してた一団が待ち伏せ攻撃を実行したと発表しました。治安維持及び旧体制派の摘発のため派遣されていた警官一団に銃撃が集中的に行われ、14人が死亡、10名が死亡しています。アサド体制を打破する際に中心的となったのは、もともと国際テロ組織アル・カイダとの関連が強いHTSであり、現在HTSを中心とした新しい統治機構の確立が模索されている中で発生した事案です。
アサド政権崩壊から約3週間のタイミングで発生した今般の事案は、アサド政権の崩壊、アサド氏の亡命で治安が劇的に改善するわけではないことを示す事案です。HTSを中心とした現在のシリア軍事部門は「「治安を不安定化させ、人々を恐怖に陥れようとしている旧体制の残党に責任を負わせるため、追加部隊を配備した」旨を発表しており、今後も旧体制派武装勢力と新政権の治安維持部隊の衝突が継続しうることが想定されます。