ラマダン月間はなぜリスクが高まるか?
イスラム教の教義では神聖なラマダン月間に積んだ功徳(善い行い)は通常の期間よりも評価されるとしています。このため、多くのイスラム教徒の方は普段以上に熱心にお祈りをし、断食をし、そして恵まれない人に寄付をします。
こうした行為はイスラム教徒以外の方も、教義を尊重し、断食中の勤務シフトを調整する、そういう習慣なのだ、と見守るといった配慮ができると思います。他方で、
「イスラム教徒以外は不信心者なので、殺してもよい。それが神の意志であり、ジハードだ」
という(日本人の一般常識に照らして)過激な解釈をするグループは外国人や他宗教の信者の殺傷を含むジハード行為も神に評価される善い行いと認識しています。すなわち、神の評価が高まるラマダン月間にこそ、神の意志に基づく戦闘行為を実行すべしという考え方になるのです。
事実、世界的な統計でもラマダン月間は他の月よりもテロや襲撃による被害者数が多いとのデータが出ています。(Datagraver.com)
また、ラマダン期間中はイスラム教徒の皆さんは日中断食をしており、原則水も飲みません。今年の場合中東や東南アジア等北半球ではかなり気温が高い時期の断食が必要となり、イスラム教徒の皆さんは日中ボーっとした状態になることが予想されます。注意力が落ちた状態で街中を移動することもありますので、交通事故のリスクも高くなります。
実際に2011年に行われた調査ではラマダン期間中の交通事故数はラマダン期間前後と比較して高いという論文が出されています。
Conclusion: The average number of traffic accidents was slightly higher in Ramadan than in non-Ramadan months. Also
traffic accidents involving death and injury were slightly high and traffic accidents involving material damage was less.
Total number of dead and injured persons was also found to be slightly high. Also, as expected, penalties due to drunk
driving were found less in Ramadan
一般的に日本では車よりも歩行者優先が徹底されており交通事故死もかなり少なくなりました。日本国内の街中を移動中、常に交通事故に警戒するなんてことはあまりないかもしれませんが、海外では日本の常識は通用しません。ましてラマダン期間中、いつもよりも交通事故のリスクが高い場合はなおさらです。特にイスラム教徒が多い国では、ラマダン期間中の交通事故リスクも高まっているのだ、という認識を持つことをおススメします。
【次ページでは・・・ラマダン期間中に海外に行く場合のチェックポイントをご説明します】