【概要】アメリカ国務省2019年テロ発生状況レポート

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2019年のテロ発生件数は前年比微増だが死者数大幅減

 

とはいえ、全部で304ページもある英文レポートをすべて読み込むのは大変な労力を伴います。毎日世界各地でご活躍されているビジネスパーソンや留学準備中の皆様に

 

 「報告書のHPを紹介するので自分自身で全部読んでください」

 

とお伝えするのはさすがに気が引けます。

ということで、まずは2019年版のテロ発生状況レポートの中から、重要と思われるポイントをかいつまんでご紹介しましょう。

 

・2019年に発生したテロの件数は全部で8302件(昨年から208件増加)

・2019年に発生したテロによる死者数は約25000人で昨年比約25%の減少

・2019年にテロが発生した国は(世界全体約半分である)89か国に上り、発生国数は昨年よりもさらに増加

・2019年テロ発生件数上位10か国はアフガニスタン、シリア、イラク、インド、ソマリア、ナイジェリア、イエメン、フィリピン、コロンビア、コンゴ民主共和国。この十か国にて、全テロ件数の74%が発生している

・ISISはイラク、シリアにあった拠点を失い、実質的な支配地域はない。ただし、ISIS関連とみられる活動は世界各地26ヶ国で観察されている。

・ISISは2019年のラマダン(6月)にインド、パキスタン及び中央アジア諸国で新たな関連組織を宣言

・アフガニスタンタリバン、ISISに次いで、アルシャバーブやボコ・ハラムによる攻撃が活発

・2019年は人種差別や民族主義等に基づくテロの増加が観察されており大きな被害が発生した

 

特に最後のポイントは2019年3月に発生したクライストチャーチでのモスク襲撃事案や8月に発生したアメリカテキサス州エルパソでの銃撃事案などを念頭に、白人男性が単独で実行し、大きな被害が出ている旨明記されています。

 

既にご説明した通り、こういった報告書があることを知らない日本人の方が多いので、この8項目を頭に入れていただくだけでも、安全対策レベルは日本人や日本企業の平均よりもしっかりしていると言えるでしょう。ただ、もう一歩踏み込んで統計数値を眺めてみるとさらに貴重な「テロの発生傾向」が浮かび上がってきます。

 

 

【次ページでは・・・統計数値を眺めるだけでも見えてくるテロの発生傾向を具体的にご説明します】