『週刊女性』表紙に「安全を守る」の文字が
海外安全管理本部代表の尾崎です。
昨日、お客様との打ち合わせ前に少し時間があったので書店を徘徊していました。なにか面白い本はないだろうか、と目線を動かしていると、入り口付近の雑誌コーナーで、これまで読んだことがない『週刊女性』という雑誌の表紙の「安全を守る」という文字が自然と目に飛び込んできました。
日ごろからお客様の安全をどのように守るか、を考えていただけなのですが、まさか自分が『週刊女性』の表紙にくぎ付けになるとは・・・。
直近発生した新潟県の女児誘拐・殺害・死体遺棄事件や一年前に発生したベトナム国籍の小学三年生が通っていた学校の保護者会長に殺害された事件などを踏まえて、子供を守りたいお母さん向けに書かれた記事でした。
海外での安全管理とは直接関係ありませんが、私自身勉強になる記事だったと思いますので、もしお時間あればご一読ください。
犯罪を実行する側の目線を考える意義
この記事の優れているところは犯罪を実行する側の目線を改めて世のお母さん方に解説している点です。
昨年引退された将棋棋士の加藤一二三さんは対局中対戦相手の後ろに立ち、相手の目線で盤上の局面を眺める「ひふみんアイ」(ひふみんは加藤先生の愛称です)で有名でした。それだけ、相手の目線で形勢を考えてみることが重要だったのでしょう。
誘拐や犯罪対策でもこの手法は有効です。TV番組でも「元空き巣のプロが狙いやすい家を語る!」といった企画が時々行われていますね。空き巣犯になった経験のある視聴者などそうそういないはずですので、彼らが語る狙いやすい家、狙いにくい家、に関する情報に意味があります。
今回の記事についていえば、一般的な『週刊女性』の読者は誘拐犯の経験はないでしょう。でも子供が誘拐されるのはなんとしてでも防ぎたいとお考えのお母さんたちは多いはず。しかしながら、「防ぎ方」だけ考えていては十分ではありません。
なぜ、その子を狙うのか
なぜ、その場所で誘拐できるのか(しやすいのか?)
どのように、犯行の準備をするのか
実行犯側の目線を考えることで、防ぐことだけを考えていては見えてこない「思考の死角」が浮き彫りになるからです。
もし自分が空き巣をするとすれば・・・
もし自分が誰かを誘拐するとすれば・・・。
考えたくはないと思いますが、こういった視点を持ってみるとまた違った世界がみえてくるのではないでしょうか?
実はこれは海外におけるテロ被害を防ぐ場合も有効な考え方です。実行犯が狙いそうな場所、狙いそうな時間帯、やりそうな手口、を想像してみるのです。
私が行っている海外安全対策に関するセミナー等でも何人かの人物像、行動パターンを示して
「この中であなたが誘拐するとしたら、どの人を誘拐しますか?」
と問いかけたことがあります。初めて『誘拐犯』として考える方ばかりですので、そのリアクションやご意見は大変興味深いのですが、皆さん最終的には
「誘拐されないコツがわかった」
「誘拐の標的になりやすい行動を知らず知らずやっていることに気づいた」
など、の感想をいただいております。
私自身のセミナー経験からも、実行犯の目線で考えることは非常に重要です。