2018年最終四半期 リスクを伴うイベントリスト
最後に、2018年最終四半期に治安や政情不安のリスクが高まりそうなイベントをカレンダーから抜き出してみましょう。
1)アルバイーンもしくはチェヘラム
10月21日ごろ、フサインの死亡後40日目(アルバイーンはアラビア語で40の意味)を意味します。日本の仏教では故人の命日から49日目に供養を捧げますが、それに似て、イスラム教では死後40日目に再度追悼を捧げることが一般的です。アルバイーン(チェヘラム)はシーア派にとって重要なフサインの40日忌ですので、これまた重要な宗教行事。イランやパキスタン等シーア派が多い国では、信者が多数集まり、行列をなして歩きながら鎖で自らの体を打つ(フサインの痛みを共有する)といった行進も行われます。
こちらはモスクではなく、路上で行われる行事ですので警備も比較的難しく、反シーア派グループの攻撃が何度も発生しています。こうした行進には近づかないことを強くおすすめします。
2)アメリカ中間選挙
11月中旬、トランプ政権下で最初の中間選挙が行われます。こちらは我々以上に世界各地の専門機関が分析をしているため、詳細は記載しませんが、アメリカ国民にとってもトランプ支持派と反対派の分断は深刻です。
先進国で政治を理由に銃撃やテロは起こらないとお考えかもしれませんが、アメリカでは過去にも自分の信条にそぐわない政治家を狙って発砲する事件が複数発生しています。また、イギリスでもEU離脱の是非を問う国民投票直前に離脱反対派の議員が銃撃を受け死亡した事例もあります。
3) G20首脳会合
11月30日、12月1日の両日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催されます。ブラジル以上に経済状況が深刻なアルゼンチンで、世界各国の首脳が集まる場となります。グローバル化に反対する地元グループなどが抗議デモなどを開催する恐れがあるほか、そういった状況下で世界の要人を警護するためブエノスアイレスでの交通規制等がかなり厳重に行われる可能性があります。
4)クリスマス
言わずと知れた世界的に有名な宗教行事です。
イスラム教の過激派から見れば自分たちを攻撃している「異教徒」の宗教行事であり、世界的にもシンボリックであるため、攻撃の対象として大義を説明しやすく、また被害が大々的に報道される可能性が高いので、攻撃の優先度も高いイベントです。
また、多くの人がやや浮かれた状態で一か所に集まることから治安当局からすると警備の難易度も高めです。実際に、2016年のベルリンクリスマスマーケットテロでは12名が死亡、約50名が負傷するという事件が発生しています。イギリスでも2017年のクリスマスにテロを計画していた容疑者が逮捕されています。今年も油断は禁物です。
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