相手の攻撃力を知ることも安全対策の一部
外壁を強固にしたり、警備員を多く配置したり、といった「防御力」を高める各種の安全対策は重要です。が、それだけでは実践的な安全対策が完成したとは言えません。なぜなら襲撃を試みる側の「攻撃力」の要素を考えていないからです。
本当にしっかりと守りを固めるのであれば、襲撃を試みる側の「攻撃力」を推測しましょう。ご自身が滞在されている国や地域で一般的に流通している武器や過去に発生したテロ・襲撃で用いられた爆薬の量などをまず確認する必要があります。もし、ご自身の周辺でテロ・襲撃が起こるとしてどの程度の武器や爆発物が使われるのかを知らずにやみくもに防御を固めるよりは実践的な守りになります。
例えば、爆発物としてタンクローリーのような大型車に満載した爆発物(上の図の下から二列目)が使用される可能性があるのであれば、その種の車両が入れない地域に事務所を設置しなければ被害を低減することは不可能です。他方で、自爆ベストのように人間が運べる程度の量の爆発物による爆風に備えればよいのであれば、事務所周辺を強固に固め、ガラス飛散防止フィルムを設置すれば事務所内で死者はまず出ません。
このように相手の「攻撃力」を見定め、その威力、規模に応じて「防御力」を必要なレベルに高めていくことが実践的な安全対策と言えるのです。ですので、どの国・地域でも通用する安全対策の理論はありますがどの国・地域でも通用する安全対策措置は存在しないのです。壁の厚さはこのくらい、警備員の数はこのくらい、監視カメラの数はこのくらい、と参照値を示すことはできます。ただし、現地の事情やテロ・襲撃の手法に応じて最終的な調整をしなければならないのです。
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