テロ発生のサイクルには「準備期間」が含まれている
なぜ、目立ったテロや襲撃の発生数が減ること=安全性が高まった、とは言えないのか?次の図を見ながらご説明したいと思います。この図はアメリカのシンクタンク「ストラトフォー」のHPに掲載されている「テロのサイクル」図です。
ビジネスに関わられている方であれば見慣れた「PDCA」のサイクル図に似ていますね。目標を設定し、標的を選定し、実行計画を練り、人員や武器・車両等を配置した上でテロが実行されるのです。(実行後は逃走し、次の計画に向けて「搾取」をするとも記載されています)
以前当HPでも「テロは〇〇〇〇に似ている!?」という記事でビジネスとテロ・襲撃の類似性を指摘させていただきました。ビジネスに例えて想像を巡らせていただければ、テロ・襲撃は最も目立つ実行のステージよりもそこに至るまでの準備期間、構想段階により時間がかかることもわかっていただけるのではないでしょうか?
超大手の企業であればたくさんの部署が日々プロジェクトを動かしており、会社全体で見れば、新規事業が次々と立ち上がっているように見えます。ただ、小さな企業では、プレスリリースを公表できる規模の新規事業立ち上げは多くても年に一つか、二つではないかと思います。それだけ一つのプロジェクトを結実させるためには準備期間が必要であり、また全ての計画が実現するとは限らない、ということでしょう。
テロを実行するような組織はほぼすべて、「超大手の企業」ではありません。同時並行で何件も「世界全体にインパクトを与えるようなテロ事件」を計画することはできないのです。それはつまり、大きなテロ・襲撃を実行した後は数か月から数年単位で計画立案、準備期間が必要でありその間は大きなテロ・襲撃は実行されない、ということを意味します。
テロや襲撃を実行する側の事情が見えてくると、大きなテロ・襲撃が起こらない期間はリスクが下がったと解釈するのではなく、次のテロ・襲撃を準備している可能性もあるな、という解釈ができるようになりますね。
【次ページでは・・・目立ったテロ・襲撃事案が発生していない時こそ対応できることをご説明します】