【セミナー登壇報告】札幌圏大学 国際交流ご担当教職員向けセミナー

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札幌圏大学国際交流フォーラム

2023年7月28日北海道札幌市にて、当サイト代表の尾崎がセミナーに登壇いたしました。今回のセミナーは札幌市周辺に位置する大学で国際交流事業に取り組む20の大学が加盟する「札幌圏大学 国際交流フォーラム」からお声掛けをいただき実現したものです。同フォーラムは札幌圏大学の有志が集い、大学が持っている国際交流の課題等を語り合うネットワークを構築するために設立された枠組みです。国内での教育活動に比べて一つ一つの大学だけではノウハウが集まりにくい国際交流業務について定期的に担当する教職員が集まる仕組みであり、大変すばらしい枠組みだと感じました。

 

さて、皆さんもご存じのように、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上、5類感染症に分類が変更され、いよいよ大学が主催する海外留学プログラムも本格的に再開されています。しかしながら過去2~3年程度感染症への警戒の高まりを背景に、留学生の送り出し実務が停滞していたのも事実。この間に人事異動により、新たに国際交流部門でお仕事を始められた教職員の方の中には初めて留学生の送り出しや留学中学生の安全管理/健康管理に携わるという方もおられます。

 

こうした背景を踏まえ、コロナ禍を経て海外への留学生派遣再開し始めている今、札幌圏で国際交流事業に取り組む教職員の方向けに改めて当サイト代表の尾崎にご依頼を頂いた次第です。フォーラムの会員校皆様のニーズや現状を踏まえ、

大学に求められる安全配慮義務は何か、

具体的にどのような取り組みを行えば安全配慮義務を満たせるのか?

実際に学生に指導する際に役立つ情報は?

といった項目を中心に解説させていただきました。二時間という短い時間ではありましたが、コロナ禍を経て久しぶりに対面・集合形式で行われたスタッフセミナーということで、参加者の方も多くお集まりいただき、活発な質疑応答がなされたセミナーとなりました。

セミナーと質疑応答を通じて、多くの大学からお越しいただいた参加者皆様に国際交流事業におけるリスクから「大学を守る」ことの本質は「学生を守る」ことにある、点改めて解説させていただきました。

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アフターコロナ時代に改めて考えたい大学の安全配慮義務

なぜ、「学生を守る」ことが結果的に「大学を守る」ことにつながるのか?キーワードは大学にとっての安全配慮義務です。企業と雇用者(従業員)の場合には労働契約法/労働安全衛生法に基づき、雇用者の安全を確保が企業側の義務となっています。大学の場合には企業ほど厳格な義務は有さないというのが一般的な理解ですが、それでも大学が主催するあるいはあっせんする海外留学において学生が死傷した場合、大学にまったく責任がないということはありえません。この点で、留学に送り出す際には、大学側が適切な事前の指導を行い、大切な学生が安全かつ健康な状態で帰国できるように指導することが結果的に大学の責任をしっかりと果たすことにつながるのです。

安全配慮義務を満たすために、一般的に必要とされる取り組みは概ね以下のような6項目。セミナーの中では他の大学や国際機関等で行われているグッドプラクティス(良い取り組み事例)をご紹介しつつ、低コストで取り組める方法、少人数でも対応できるような工夫をお伝えしました。例えば、こちらのコラムで紹介しているような実際に起こりえる犯罪を再現した無料の動画を学生らに見せるという手法が有効である点情報共有しております。

尾崎が40分ほどお話した後には、参加者皆様から頂いた質問や日々業務に取り組む中で感じているお悩みに対して、一つ一つ回答させていただきました。パキスタンやアフガニスタンで関係者の安全確保を行い、JICA(国際協力機構)で安全対策体制の再構築に貢献したた経験、そして現在進行形で大手企業等の海外事業リスクマネジメントに関わる中で得られるノウハウを包み隠さずお伝えした次第です。

セミナー終盤では単に「●●をやってはダメ」「××に気をつけろ」ではなく、なぜそうすべきなのか?どうすれば学生たちが危機管理指導を踏まえた行動ができるのか、をお伝えし大変好評を頂きました。予定していたセミナー時間を過ぎても追加でご質問を頂く大学ご担当者様も複数いらっしゃり、セミナーを担当させていただいた立場としても大変光栄でした。

 

なお、代表の尾崎はアフターコロナ時代にリスクをとって留学する意義や現地でリスクをコントロールしながら学びを継続する技術をまとめた書籍を昨年末に出版しています。現在コロナ禍で減った日本人留学生の海外への派遣再開を応援する意味で各大学における学生向けのセルフディフェンス講座は大学規定の謝金+交通費のみでお受けしております。

世界の紛争地で日本人/日本企業の安全確保を担ってきた経験を持つ代表が直接留学直前の学生に現地で安全・健康を維持する方法をお伝えするレクチャー、ご関心をお持ちの大学・学校法人の方はぜひこちらからご依頼くださいませ。

【代表著書ご案内】「アフターコロナの留学」(総合法令出版)

 

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