RUN:逃げる の具体的な例(何メートル逃げればいい?)

この記事のURLをコピーする

緊急事態発生現場から「逃げる」とはどういうことか?

緊急事態が起こった際の三原則」という記事で基本となる対応は三つ、逃げる(RUN)、隠れる(HIDE)、反抗する(FIGHT)、だとお伝えしました。

 

一番安全なのは緊急事態が発生した際、その危険から皆さん自身の安全が確保されるまで距離をとる=逃げることです。でも、実際に逃げるってどういうこと??という方も多いのではないでしょうか?

日本で何か危険から逃げる、というシーンはあまり経験することがないと思います。その分、ハリウッド映画等で爆発や襲撃から逃れる、そんな映像をイメージしてしまうかもしれません。例えばこんな感じです。

 

大爆発から「逃げる」イメージ(注:あくまでイメージです)

 

皆さんご自身がアフガニスタンやイラクに行き、かつ外国人(国連スタッフや各国大使館員等)が活動するエリアを出ない限り上のような写真のような「逃げ方」にはなりません。英語ではRUNと表現されているので、数百メートルから数キロもの距離を全速力で走る、というようにも読み取れてしまいますが、実際に逃げる必要があるのはごくわずかの距離です。

その事実を具体的な事例を基にご説明したいと思います。

 

海外安全メールマガジン登録

アリアナ・グランデコンサート爆発事件を覚えていますか?

皆さんは2017年5月22日、イギリスのマンチェスターで発生したアリアナ・グランデさんのコンサートでの爆発事件を覚えていますか?

 

若者にも大人気のグランデさんがコンサートを終え、観衆も満足して帰途についた際、最寄り駅へつながるコンコースで自爆テロが発生しました。大人気のコンサートということで、約15,000人が現場周辺に集まっており、結果的に22名が死亡、250名以上が負傷する、イギリスでも類を見ない自爆テロ事件となりました。アリアナ・グランデさんのファン層は若い世代が多かったこともあり、犠牲者も若い人が多かったこともこの事件がイギリスに大きな衝撃を与えた要因の一つです。

 

この事件を実行したのは、22歳のイギリス人ムスリム青年でした。事件発生前、コンサートを楽しみに来場する若い人たちに混ざって独り言を言いながら現場付近を行ったり来たりしている姿が目撃されてた、との報道もあります。

こういった状況下で、緊急事態に巻き込まれないようにする方法があるでしょうか?コンサートの入り口に不思議な人物がいることに気づいたとしても、せっかくのコンサートを諦める、という判断はしないと思います。(弊社としても、リスクが排除できないので楽しみを諦めなさいという推奨は原則しません)

 

弊社で推奨したいのは、本当に爆発なり襲撃が起こった際、数メートルでもよいので怪しい人やモノ、異常な事態から距離をとりましょう、ということです。

 

海外安全セミナー

爆発事件の犠牲者分布から見えてくるもの

次のイラストは一年前にBBCに掲載された、爆発事件で犠牲になった方がどこにいたのか、を図示したものです。21名の犠牲者のうち18名まで(85%)が自爆犯(赤点)の数メートル以内で犠牲になっていることが読み取れると思います。

つまり、イギリスでも類を見ないほどの犠牲者を出した自爆テロであっても、数メートル距離をとれていれば、生き残っていた可能性が高まる、ということです。

 

出展:BBC

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう一度この事件が起こった時の状況を思い出してみてください。楽しかったコンサートが終わり、みな高揚した気分で騒いでいる中、一人思いつめたような表情でぶつくさつぶやいている人間が隣にいたら・・・。

「よくわからいけど、なんか気持ち悪いな」

と感じて数メートルその人物から距離を置けば命は助かり、怪我で済んでいたかもしれません。

 

そう、全速力で何百メートルも走る必要は、よほどのことがない限りないのです。その場にそぐわない、異常な事態、不審な人物、不審なモノから数メートルでも余計に距離を確保できれば、皆さんが身を守れる確率はぐっと高まります。

ほんの「数メートル」、たいていの事態での「RUN」に必要な距離はこのくらいです。

 

 この項終わり