【事案分析】北京 単独犯による米大使館前爆発事案

トップ画像はツイッター(@tbn)投稿映像より

事案の概要

〇7月26日(木)現地13時頃中国首都北京中心部、朝陽区大使館街にあるアメリカ大使館ゲート付近で爆発が発生

〇大きな爆発音により、アメリカビザ申請に並んでいた中国人や周囲の治安当局者の間でパニックが広がった

〇ただし、爆発による直接的な被害はほとんどなく、死傷者もいない

アメリカ大使館内でも被害は発生していない

〇用いられた爆発物は中国では一般的に販売されてる花火もしくは爆竹に分類されるものであり、特殊な軍事訓練を受けずとも使用可能なものだった

〇爆発直後に現地治安当局が周辺を封鎖。約一時間後に交通規制は解除された

〇犯人は内モンゴル自治区出身の男性(26)1名で当局発表によると名前はJiang

〇治安当局が既に犯人を拘束しており、爆発に伴う怪我の治療を行いながら捜査を実施中

〇報道によれば、犯人は米国ビザの申請に関し、不満を抱えていたとのこと

〇なお、本事案発生前に女性1名が現場付近で焼身自殺をしようとガソリンをかぶり、その場で治安当局が身柄を拘束したとの報道もあるが、本事案との関係は不明

 

 

 

簡易な分析コメント

本件は単独犯による小規模な爆発事案です。

用いられた爆発物は中国で一般的に販売されている花火もしくは爆竹であり、いわゆるIED(Improvised Explosive Device:即席爆発装置) のような特殊な訓練を受けなければ作成できない代物ではありませんでした。爆発現場から6~7メートルしか離れていない大使館ビザ受付担当者が事件直後にインタビューを受けていることを考えれば、爆発の威力も極めて限定的だったと言えます。

現時点では詳細な背景は不明ですが、犯人は米国ビザの申請に関連し、なんらかの不満を抱えていたとの情報もあり、これらを総合する限り、テロというよりも、「いやがらせ」ないし、「個人的な抗議行動」に分類したほうがよい事案であると考えます。

 

厳重な警備が敷かれている大使館街、日本人も多く居住する朝陽区内で爆発音が響いたことにより、一時的に緊張が走りましたが事態は速やかにコントロールされ、中国政府の対応、現地治安当局の能力の高さを間接的に示唆しています。

 

北京でのテロ事案は極めてまれであり、テロと呼べる事案は2013年、新疆ウイグル自治区の住民が天安門広場で車両を暴走させた以降発生していません。今回もテロとは呼べない事案であり、今回の事案を持って、北京でのテロ警戒レベルを引き上げる必要はないと考えます。

 

他方で、「誰にでも購入できる」材料であれば、大使館街の厳重な警備・監視体制をかいくぐり、敷地外側でなんらかの爆発事案を引き起こせてしまう点は再認識しておく必要があります。個人的な怨恨や金銭トラブル等がない限り、現在日本人や日本企業等がテロの標的となる可能性は低いですが、不特定多数の人が集まるような場所では周囲に不審な動きをしている人物がいないか、不審物が放置されていないか、に注意を働かせ、自らの安全を確保するようにご注意ください。