50万人登録(?)で満足してはいけない
9月中旬に外務省ホームページで発表された最終結果は51万5794でした。これは「たびレジ」の登録に加えて、外務省が発信する安全関連ツイート等へのリアクション(いいね!、リツイート等)を合計したもの。ということで、実際に「たびレジ」に登録した方は多く見積もっても50万人前後ではないかと思います。
再確認しましょう。
夏休み期間に海外旅行に出られると想定された日本人の数は283万人もいたのです。出張等含めて見積もれば、ざっと300万人くらいの新規登録候補者がいたにも関わらず、実際の登録数は約50万程度。約16%という数字です。
この結果を見て、尾崎は二つの懸念を持ちました。
・外務省は「たびレジ」の新規登録目標が50万でよいと本当に思っていたのか?
・なぜ海外旅行される方に「たびレジ」が普及しないのだろうか?
の二点です。
この「たびレジ」は営業促進のパンフを見て電話をかけるというたぐいのものではありません。むしろ原則全員参加したほうがよい、避難訓練の参加率にも似たものがあります。その前提で登録率が16%、そして目標達成済みとするにはあまりにも目標が低くないでしょうか?
あくまで新規登録者数が50万人前後いるので、実際には「たびレジ」に登録した上で海外に出られれている方は多いのかもしれません。それでも、外務省が文字にしているように
「一人でも多くの方に『たびレジ』を活用いただきたい・・・」
というのであればもっと目標は高くてもよかったのではないかと感じています。
加えて、それを利用する側の日本人旅行客皆様も、もっと積極的に登録してもよかったのでは、との思いも禁じえません。なぜなら、万が一旅行先でテロや襲撃等が発生した時に速やかに、日本語で、かつ無料で支援を受けるための最高のツールが「たびレジ」なのです。
旅行初心者の方からベテランの方まで、最低限
・出国前に現地の治安情勢を調べる、
・万が一に備えて「たびレジ」に登録する、
の二つはやっていただきたいな、と思っているのですが、実際には多くの日本人の方が「たびレジ」の存在すら知らない、というのが実情のようです。自分の身を自分で守るために、こうした旅行前の取り組みが必要なのですが、海外旅行に出発される方に自衛の意識は浸透しきっていないのかもしれないな、とも感じました。
タイトルが少し刺激的でしたが、尾崎自身、このキャンペーンは失敗ではない、と捉えています。というのも、外務省というお役所が形式や前例にとらわれず、新たなチャレンジとしてこのような取り組みを行い、結果50万人程度の新規「たびレジ」登録者を獲得できているからです。ただし、50万人で満足してよいとは到底思えない、という感想を持っていることをご理解ください。
願わくば、今年の50万人目標は「第一歩」としての目標値であって欲しいもの。来年は50万人を通過点として、最低でも出国者数の半分の登録数あたりを目標として試行錯誤しながら、キャンペーンを持続していただきたいな、と感じました。
当サイトの目標は日本人の皆さんが無事に海外旅行や出張を終了し、無事に帰ってくる方を増やすこと。万が一何らかの被害に遭っても日本政府や所属企業が迅速に支援し、命だけでも無事に日本に戻ってきていただくこと。ささやかながら、今後も定期的に「たびレジ」登録のメリットを訴えていきたいと思います。その結果として、例えば来年夏休みの外務省目標達成に貢献できるのであれば、これ以上の喜びはありません。