フォーリンポリシー誌の記事
公開情報は十分安全対策に活用できますよ、と言っているうちに、米国の外交専門誌である『フォーリン・ポリシー』がこんな記事を掲載しました。
Google Maps Is a Better Spy Than James Bond
直訳すれば、「ジェームズボンドよりグーグルマップのほうが優秀なスパイ」。イギリスの影の外務大臣(Shadow Foreign Secretary=現在野党所属だが政権交代が起こった際にまず外務大臣への就任が予測される人) が
「SNS等で公開される過激派らの情報に頼るのはまともな選択肢とは思えない」
と発言したことをいさめつつ、いかに最近の公開情報が精緻化され、役立てられているのかを詳細に書いています。例えば、同記事で紹介されている内容をかいつまんで言えば、
各国政府の軍事行動発表やニュース報道(もちろん公開情報)
グーグルマップの衛星写真(もちろん公開情報)
SNS上で公開される犯行声明(もちろん公開情報)
紛争前の写真など(ちょっと探せば出てくる公開情報)
日の出や日の入りの時間などから計算できる影の長さ(公開情報から少し計算すると入手可能)
などを踏まえればある軍隊が攻撃した場所が公式発表通りか比較して検証することもできるし、テロリストグループが人質を殺害した場所の特定もできる、としています。
公開情報がまだ十分頼りにならなかった頃はいわゆる「スパイ」を活用した非公開情報に重点があったことは否定できません。今も各国はヒト・モノ・カネをつぎ込んで非公開情報の収集を行っているため、こうした情報が極めてレアなように感じられるのもやむを得ないでしょう。
しかし、創刊50年になろうかという外交専門誌も認めるように、この十年ほど、インターネットの普及やSNS等の規模拡大に伴い、公開情報の精度や種類、情報源は圧倒的に拡大しました。質・量ともに非公開情報に勝るとも劣らないレベルになってきているというのがこの記事の趣旨です。
【次ページでは・・・過去にはクラウドサービスで軍事機密が丸裸になった経緯をご紹介しましょう】