グローバルテロリズムインデックスとは
英エコノミスト誌系のシンクタンクであるInstitute for Economics & Peaceという団体が毎年発表しているGlobal Terrorism Index(グローバルテロリズムインデックス)という指数があります。これは世界各地で発生したいわゆる「テロ」に分類される事件の数や被害規模を指数化して、ランキングしたものです。
このインデックスの特徴は
・世界中のほとんどすべての国・地域が評価されること
・同じ基準に基づき、国別に0~10の間で指数が算出されること
・毎年発表されるため指数の変化や順位の変化が見えやすいこと
・色分けされた地図が公表されるため、本文を読まずともテロ危険度が把握しやすいこと
などが挙げられます。

このインデックスの最新版となる、2018年版が12月5日に公開されており、ダウンロードが可能になりました。当HPでも早速内容を確認しましたので、今回は概要をお伝えしたいと思います。詳細をお知りになりたい方はぜひオリジナル英文PDFをお読みいただければと思います。
ちなみに今年から昨年版と各国のランキング順位の変動が明記されるようになりました。代表の尾崎は数年前から
「テロリズムインデックスの各国順位の変動、特に急に順位が上がった国ではそれまで起こらなかったような大きなテロが起こることが多い。『アノマリー』ではあるものの、先行指標として有効かもしれない」
と発言していました。順位の変動が明記されたことでより一般の方にも今後のテロ傾向を予測していただきやすくなったと言えるかもしれません。
2018年版報告書の概要

まず目につくのは、世界全体でのテロの死者数は過去最悪だった2014年と比べると44%減少しているという報告です。また、2017年版と比較してインデックスが改善した国が94か国、悪化した国が46か国と記載されており、世界全体でみると、テロの被害状況はやや改善傾向にあることが読み取れます。

ただし、上のグラフからも読み取れるように、世界全体でのテロ死者数の大幅な減少は特にイラクやシリアの治安改善が主要因と分析されています。(参考:通称「イスラム国」(ISILもしくはISIS)の「建国宣言」は2014年6月の出来事です)この結果、グラフ一番下の’Rest of World’(その他の地域)での死者数は2014年と比べて「やや減った」程度です。
もう一点、報告書ではこの1年で1人以上の死者が出たテロ被害を受けた国が67か国に上ると記載されています。これは2002年にインデックスが発表され始めて以来過去2番目の高水準(一位は2016年の79か国)です。また、死者が出ていないテロも含めたテロ発生国数は98か国とされています。
西ヨーロッパではテロによる死者数は減少したものの、テロ発生件数は増加しているとされています。また、死者数そのものは少ないですが、極右的主張を唱える過激派によるテロが増えていることも明記されています。
ご参考までに2018年版インデックス上位10か国は次のとおりです。
1位 イラク
2位 アフガニスタン
3位 ナイジェリア
4位 シリア
5位 パキスタン
6位 ソマリア
7位 インド
8位 イエメン
9位 エジプト
10位 フィリピン
当サイトが注目するテロの傾向
報告書からは世界全体でのテロ被害改善傾向が読み取れました。しかしながら、注意しなければいけないのはイラクやシリアといった皆さんが行かないであろう国での被害改善が世界全体の統計に大きく影響しているという点です。つまり、イラクやシリアに滞在されない方にとっては44%の大幅改善は額面通りには受け取れず、むしろより多くの国でテロが発生するようになっている点に注意する必要があると考えます。
また、冒頭ご紹介したように、当HP代表の尾崎はグローバルテロリズムインデックスの各国ランキング変動やその他各種治安情勢を踏まえて、近い将来どういった国が危険か毎年検討しています。残念ながら警戒していた国で大きな事件が発生することもありますし、注意して情報を集めていたものの特段なにも起こらなかったという国もあります。
ご参考までに当HPが考える向こう一年間のテロ要警戒地域、またテロ発生傾向を提供します。
・インデックスの順位が上がっている国のうち治安に関係する情報などを踏まえ特に注意が必要ではないか、と考える国はミャンマー、ネパール、カナダ
・これらの国は日本人一般にとって国名とテロが結び付きづらく、警戒が必ずしも十分ではない可能性もある
(イラクやアフガニスタンのような大規模なテロが次々と起こるという意味ではない。小規模ながら現在の警備状況では防ぎきれない無差別テロなどによって、一般人に被害が発生しても驚かないという意味合い。)
・ヨーロッパ及び欧米では引き続き銃の乱射や車両の突入といった「誰でもできてしまう」単独犯によるテロへの警戒を解いてはいけない
・報告書で指摘されている極右勢力による反政府破壊活動などはまだ情報が不足しており、模様眺めの段階
最後に一点目で指摘した要注意国に対し、日・米・英・豪各国がそれぞれの国民向けにどのような旅行前アドバイスを提供しているかまとめたぺージのリンクをご紹介しておきます。
ミャンマー
ネパール
カナダ
この項終わり






