モロッコ治安最新情報(2024年10月)/海外安全.jp


0.モロッコにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在モロッコ日本国大使館  :+212-(0)537-63-1785

  (注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察    :19

◎救急/消防  :15

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

モロッコについて、日・米・英・豪の四か国は似たような危険度であると評価しています。アルカイダに関連するグループやISISに感化された過激派によるテロに対して警戒が必要であるものの、国全体としての警戒レベルはそれほど高く設定されていません。 イスラム教徒が多い国の中では比較的治安が安定しているとの評価です。

一般犯罪の発生件数は日本に比べて非常に多く、特に金銭目的の窃盗や強盗が多発しています。日本人も多数被害に遭っている旨記載があります。 こうした犯罪の多くはカサブランカ、タンジェ、フェズ、マラケシュ、エルフード、ワルザザート、エッサウィラなど外国人観光客が多く集まる都市に集中していることも注意喚起されています。

なお、モロッコが領有権を主張しているもの領有権問題を抱える「西サハラ地区」について日本政府は地図に記載がありません。この地区に立ち入る場合はオーストラリア政府が示している地図が参考になります。

【海外安全.jpのコメント】

モロッコに対する各国政府リスク評価は概ね「穏健なイスラム教国であり、小規模な爆弾テロ等が発生するものの、一定の注意をしていれば安全に駐在/渡航が可能」というものです。2011年マラケシュ旧市街での外国人を標的とした爆弾テロや2018年末のマラケシュ近傍山中での外国人旅行客殺害など過去の事例は紹介されていますが、現時点で各国ともそれほど強い注意喚起は発していません。

ただし、恐らくISIS本体からの指示に関係なく北欧女性らを殺害する過激な集団が生まれている状況を考えると今後テロが増加・激化しても不思議ではありません。モロッコへの旅行やご出張の前には必ず最新の治安情勢、直近のテロ・重大犯罪情報を確認することをおススメします。

 

また、各国とも注意喚起が強くないため目立ちませんが、一般犯罪被害は非常に多く発生しています。特にナイフ等を用いた強盗事件は増加傾向にありますので、以下のような行動は可能な限り控えるようおススメします。

・人通りの少ない場所を一人で歩く

・夜間徒歩で外を移動する

・万が一強盗被害に遭った際は抵抗せず金品を渡す(命最優先)

2.日本政府の危険情報

「西サハラ」地区を除く全土が 「レベル1:十分注意してください」に指定されています。

日本政府はモロッコ国内でのテロに十分注意するよう呼び掛けており、特にシリア及びイラク地域に渡航したモロッコ人の数が1600人以上いること、こうしたモロッコ人が国内に帰還している可能性があることを指摘しています。

また、直接ISISの過去の支配地域(シリアやイラク)に渡航していない国民でも国内の貧富の差や失業問題を背景として、社会への不満を抱えていること、また特に貧困な若者を過激な活動へと誘い込むリクルート活動が行われている可能性も記載されています。

こうした背景から在モロッコ日本国大使館が作成した『安全の手引き』でもテロへの警戒を怠ることの内容記載されています。

 

加えて、一般犯罪についても日本人が被害に遭ったひったくり、窃盗、強盗、詐欺等の事例が記載されています。モロッコでは日本人(東洋人)は目立つこと、また日本であれば犯罪など起こらないような状況で日本人が犯罪に巻き込まれていることを踏まえ強く注意喚起がなされています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ一時全土が「渡航を中止してください: Do not travel」となっていましたが、2022年4月18日付で「十分警戒してください:Exercise increased caution」までリスク評価が引き下げられました。現在のリスク評価の理由はモロッコ国内でのテロに警戒が必要であることが背景となっています。
 
 
新型コロナウイルス感染症パンデミック拡大前の治安レベルは以下の通りでした。パンデミックを経て、治安認識が一段階厳しくシフトしていると言えます。

全土  

特段の注意喚起はありません。
全土が「一般的な注意を払ってください:Exercise normal precaution」の対象です。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

イギリス政府は危険レベルを地図上の色分けや文言の形式で示していません。

全土に対し特段の注意喚起はありませんが、2018年末に発生した北欧女性殺害事件を引き合いに、ISISに共鳴する過激主義者によるテロや襲撃に注意が必要である旨記載があります。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で国土の大部分が「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にリスクレベルが引き下げられました。
 
 
現時点でリスクレベルを地図上に表示した図は掲載されていませんが、文章上は以下新型コロナウイルス感染症拡大前に掲載されていたリスクマップと同じ状態と言えます。

モロッコの主要地域に対しては5段階中真ん中の「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されています。

日本政府の地図上には表れてこない「西サハラ地域」(モロッコも領有権を主張)のうち、「サハラ・アラブ民主共和国」による支配地域に対しては最も警戒レベルの高い「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。日本政府やイギリス政府同様、2018年末に発生した北欧女性旅行客殺害事件を踏まえテロへの警戒を怠らないよう明記されています。

6.最近の治安ニュース

モロッコ邦人旅行者の野犬咬傷被害(2024年2月6日)

モロッコ中部での地震被害(2023年9月8日)

モロッコで猫に噛まれた英国人が狂犬病で死亡(2018年11月)

2018年12月17日モロッコ中部マラケシュにほど近い山中で北欧から旅行に来ていた女性観光客2名の遺体が発見されました。ISISに感化されたと思われるグループが犯行声明を発表しており、同国治安当局は実行犯と思われる4名のほか、事件に関与していた疑いのあるスイス人を逮捕しています。

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