2025年11月15日イラクのキルクーク県ディビス地区で選挙後の暴力事件が発生しました。現地報道によれば、武装した集団が民家を襲撃し、銃撃や暴行、誘拐未遂が行われ、治安部隊員も巻き込まれました。犯行グループは既に逮捕済みです
本事案は11月11日に実施されたイラク議会選挙後も続く暴力的事案の一例と言えます。今回の民家襲撃事件は選挙後の政治的緊張の中で発生し、家屋や車両には多数の弾痕が残り、家族が暴行を受けるなど深刻な被害が確認されています。
暴力行為に及んだのは現地選挙区で当選した議員の護衛らであり、クルド人自治区の治安維持部隊隊員の自宅が襲撃されたものです。被害者宅に多数の銃弾が撃ち込まれ、家族の一人が車のトランクに押し込まれそうになるなど誘拐未遂も発生しました。介入したイラク軍人も暴行を受けています。
事件後、武装集団は地域の事務所に立て籠もりましたが、治安当局が包囲し、当選したばかりの議員本人と護衛7名が逮捕されました。現在、銃撃、誘拐未遂、治安部隊員への暴行などの容疑で捜査が進められています。今回の事案は、選挙後の政治的緊張が暴力へと発展した事例とされ、民族や地域の対立が治安不安を高めています。
なお、11月11日のイラク議会選挙ではアル・スーダニ首相率いる与党が勝利しており、選挙プロセスそのものは無事終了しています。他方で、選挙前後に暴力行為が各地で散発していることも事実であり、政党間だけでなく民族・宗派間の対立が再燃する傾向も確認されています。当面の間、イラク国内に滞在する際には比較的治安が安定しているとされる北部クルド人自治区においても安全対策は不可欠です。


