開発途上国赴任の辞令を受ければ誰もが混乱する
開発途上国への赴任辞令が今後増えていくであろう、ということはわかっていただけたのではないでしょうか?では、現実問題として、開発途上国と呼ばれる地域への赴任辞令を受けた時、皆さん(あるいはご主人や奥様)はどのような反応をするでしょうか?
長らくその国での駐在を希望していたという方以外は
戸惑い
驚き
混乱
が先に来るのではないでしょうか?
そして、実際に家族で開発途上国に住むことを想像するとなおさらどんな暮らしになるのか、気が気でない、という方も多いはず。ざっと思いつくだけでも
住宅事情
食べ物
衛生環境
交通事情
治安情勢
教育事情
などなど気になることがたくさんありますね。
当然のことながら、赴任先の国や都市によって状況は違います。必然的に赴任先によって必要な準備も異なります。が、準備するプロセスは共通することが多いのです。
このページでは駐在の辞令を受け取った際、まず最初にやるべきことを初歩の初歩から考えてみたいと思います。
少し時間をかけて赴任先の国を知りましょう
開発途上国への赴任の場合、国内の人事異動とは違って少なくとも1か月以上の準備期間があるはずです。会社、組織によっては6か月前から海外への異動が打診され、家族で検討して結論を出してほしい、と言われるケースもあるとのこと。逆に言えば、これだけの長い時間を準備にかけられるのですから、それを利用しない手はありません。
時間をかけてでもよいので、赴任先の国をじっくりと調べてみましょう。特におススメなのは地図で赴任先の国の場所を確認することです。
「え!?いまさら地図帳?」
と感じられるかもしれませんね。しかしながら地図で赴任先の国の場所を把握すると思っている以上に多くのことがわかります。特に聞いたことがない国の場合はその国がどこにあるのか、しっかり確認してみてくださいね。
その次に大事なのは周辺の国々です。駐在先の国そのものを聞いたことがなくても、隣の国に有名な国があるかもしれません。駐在先の国そのものの場所がよくわからなくても、近くの国なら行ったことがある!ということもあります。少しでも知っている国から駐在先の国に親しみを持つと基礎知識もためやすくなりますね。
そして、なぜ当サイトで地図を見ることをおススメするか、というと特定の国の生活環境や衛生状態、政治情勢、治安情勢等が隣国・周辺国との環境に大きく影響されるためです。
海を挟んだ日本ですら、日々隣国・周辺国から強い影響を受けています。
例えば経済。距離の近い国は貿易においても重要な相手であることが一般的です。ですので、中国や韓国の景気は日本企業の業績に大きな影響を与えます。中国や韓国の経済状況は日本の経済状況にも大きく影響しますね。
例えば環境問題。中国の大気汚染が深刻な場合、国境に関係なく移動してくるPM2.5は日本国内の大気汚染の原因となります。ちなみに陸続きの国同士の場合、感染症も国境を越えて流行します。周辺国の衛生状態は日本で暮らしていても気にしているはずですよね。
政治情勢や治安情勢についても同じです。これらは改めて詳しくお伝えすることにしますが、北朝鮮からミサイルが発射されるたびに日本国内で大きく報じられるのは、なぜでしょうか?それが日本国民の安全に直結するからですよね。
海外で生活するときも同じで、駐在先の国の中で暮らすからと言ってその国のことだけを知っていればよいわけではないのです。地図帳を広げて、駐在先の国がどこにあるのか、その国の周りにどんな国があるのかを知ることも大事な赴任前情報収集の方法なのです。非常に原始的と言いますか、古くさい手法ですが、インターネットであれこれ細かい情報を検索するより前にその国の場所と隣国・周辺国を俯瞰してみることをおススメします。
どんな国・地域でも人間の生活があります
当たり前ではありますが、開発途上国と呼ばれる国でも日本と同じように多くの人がそこで暮らしているのです。生活の利便性や治安はさておき、我々と同じ人間の生活が成り立っている場所である、ということを忘れてはいけません。そして、人間が生活している以上、その情報はどこかに公開されているのです。
例えば日本政府の外務省のホームページを見てみましょう。
いわゆる「お役所」のHPですので、サイトが見づらかったり、文章がわかりづらい部分もありますが、その分全世界を完全に網羅しています。どんなに聞いたことのない国・地域に赴任した場合でも絶対に情報を入手できるという点で、外務省のHPの右に出るサイトはありません。また、口コミが多い東南アジアや欧米の国に赴任する場合でも、信頼できる情報という観点では、まず外務省の情報を見ていただくことをおススメします。
特に確認いただきたいのは、大使館や領事館の所在地と在留邦人の数です。現地で暮らした場合、困ったときに助けてくれるのは日本政府外務省が管轄する在外公館(大使館、領事館等の総称)と現地で既に暮らされている日本人のコミュニティ。万が一の際、緊急連絡を行ったり、駆け込んだりする場所がどこなのか、はしっかりと把握しておきましょう。
そして、マニアックな情報ですが、在留邦人の数も重要です。国を選んだあと、「基礎データ」の項目から「▶二国間関係」を選び、「4在留邦人数」のところに何人と書かれているかを見てみてください。
開発途上国と呼ばれる国・地域ではニューヨークやロンドンのように一つの都市だけで数千人~数万人もの日本人が暮らしているケースはめったにありません。その国に長期滞在している日本人が数十人ということだってあり得るのが開発途上国。おのずと日本人同士の付き合いも濃密になるのです。
聞いたことのない国でも数百人、数千人が暮らしている国は多く存在するのです。
「聞いたことがない、知らない国だから家族での赴任はやめよう」
「開発途上国の生活は厳しいに決まっているから子供は連れていけないに決まっている」
「知り合いもいない国で家族で生活できるわけがない」
と一足飛びに決めてしまうのはひょっとすると早合点かもしれません。
お子さんが小さい時期にご家族でお子さんの成長過程を見守る、お互いに助け合って家族の絆を育む、という機会は大切にする意味があるはずです。駐在先の国・地域に一定数の日本人が暮らしているのであれば、皆さんもご家族で生活できるかもしれません。世界各地の在留邦人数など、こんな時以外に必要のない情報ではありますが、ぜひ確認してみてくださいね。
次回は外務省以外のホームページで参考になるサイトをご紹介します。
この項終わり